需要供給の法則(読み)ジュヨウキョウキュウノホウソク

デジタル大辞泉 「需要供給の法則」の意味・読み・例文・類語

じゅようきょうきゅう‐の‐ほうそく〔ジユエウキヨウキフ‐ハフソク〕【需要供給の法則】

競争市場において、ある商品価格はその商品の需要供給関係で決まるという法則。超過需要が正ならば価格が上昇し、負ならば価格が下落する。

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改訂新版 世界大百科事典 「需要供給の法則」の意味・わかりやすい解説

需要・供給の法則 (じゅようきょうきゅうのほうそく)
law of demand and supply

商品の相対価格は需要供給を等しくするように決まるという考え方。学説史的には,価値は生産費としての投下労働量によって決定されるというD.リカードを中心とする古典派の労働価値説に対して,J.S.ミルは需要側も価値に影響を与えるとして需要供給原理的生産費説を唱えた。さらに,1870年代の限界革命によって主観的価値論に基づく需要理論は飛躍的に進歩した。そして今日では,A.マーシャルの部分均衡分析とL.ワルラスの一般均衡理論を包摂して発展してきた新古典派経済学において,需要・供給の法則は市場機構の基本原理を表現するものと考えられている。

 いま,単一の商品の市場についてこの法則の意味するところを説明すれば,価格が上昇すれば買手の購入希望量が減少するという関係を反映して需要曲線は図のDD′のように右下がりに描かれる。他方,価格の上昇は売手の販売希望量を増加させるであろうから,供給曲線SS′のように右上がりとなる。このような市場において価格p′が成立すれば,需要が供給を超過することになる。満たされない需要をもつ買手は,互いに競り合って価格をつり上げるであろう。逆に,p″のように高すぎる価格がつけられれば超過供給が発生し,売れ残りをかかえた売手は買手を求めて価格を切り下げると考えられる。したがって,いずれの場合にも価格は変動を続けるが,もしも価格がpに定められるときには,自発的に意図された市場への供給量が過不足なく買手に引き取られることになるため,市場は均衡し,それ以上の価格変動は起こらない。このようにして商品の価格は需要と供給の均衡に決定される。したがって,また,もしも需要曲線が右へシフトする変化が起これば,価格は供給曲線に沿って上昇し,供給曲線が上へシフトするときには,価格は需要曲線に沿って上昇することもわかる。
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