ろ‐とう【露頭】
〘名〙
① かぶりものをつけないで、あらわに頭をだすこと。また、その頭。比喩的に、
表面に出てあからさまになった
物事もいう。〔
温故知新書(1484)〕
※欧米印象記(1910)〈
中村春雨〉大西洋航海日誌「露頭
(ロトウ)のまま
甲板に立つと、
石炭の粉が
頭髪の中に飛んで来て」 〔
晉書‐光逸伝〕
※
断橋(1911)〈
岩野泡鳴〉七「露頭
(ロトウ)は累々として
沿岸に連なってゐるさうだ」
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デジタル大辞泉
「露頭」の意味・読み・例文・類語
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露頭 (ろとう)
outcrop
表土に覆われずに地表に露出している地層や火成岩体の一部,または地表に露出している鉱床のこと。硫化物に富む鉱床の露頭は一般に酸化されて〈焼けgossan〉とよばれ,鉱床を探査するときのもっともよい手がかりとなる。湿潤気候下では,焼けはおもに酸化鉄からなり赤褐色を呈するが,乾燥気候下で銅を含む鉱石が酸化されるとクジャク石やケイクジャク石などの特徴ある緑色の鉱物を生じる。これらの酸化帯中にはときに自然銅を産することがあり,人類の金属の利用はこのような自然銅の利用から始まったのであろう。
執筆者:佐藤 壮郎
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露頭
ろとう
地層や岩石が、土壌や植生に覆われることなく、直接露出している場所をいう。沢筋や岩石海岸など侵食が盛んな所、あるいは道路沿いの崖(がけ)や人工的切割りなどに好露頭がみられる。地質学者は、この露頭を丹念に観察して地質調査を行う。岩石が、崖崩れや土石流により、地山から遊離して移動してきた場合は転石といい、どんなに大きくても露頭とはいわないのが一般である。しかし、これは基盤地質を対象とする地質調査の場合であって、表層地質調査にとっては、こうしたマスムーブメント堆積(たいせき)物の露出もりっぱな露頭である。
[岩松 暉]
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露頭
ろとう
outcrop
岩石や地層が土壌や植生などにおおわれないで,直接地表に現れているところ。海岸や河岸などには露頭がよく発達するほか,採石場や道路沿いの崖にも人工的な露頭がみられる。露頭の観察は地質調査の基本で,これによってその地域の地質図を作成したり,地下の地質構造を推定することができる。
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普及版 字通
「露頭」の読み・字形・画数・意味
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世界大百科事典(旧版)内の露頭の言及
【石炭】より
…炭層も同じ変化を受けるから,現在の炭層の傾斜は水平から垂直までの全範囲にわたっている。また,断層や,褶曲のあとで起こった浸食の結果,地中の深いところでできた炭層の断面が,〈露頭〉として地表に出ているところもある。
【石炭組織】
石炭のもとは植物であるから,それには幹,枝,葉や花粉,胞子などがまざり合っている。…
※「露頭」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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