高脂血症(読み)こうしけつしょう

精選版 日本国語大辞典 「高脂血症」の意味・読み・例文・類語

こうしけつ‐しょう カウシケツシャウ【高脂血症】

〘名〙 血中に含まれるコレステロールまたは中性脂肪が異常に高い症状。動脈硬化を促進する。血清総コレステロールが一デシリットル当たり二二〇ミリグラム以上、または中性脂肪が一デシリットル当たり一五〇ミリグラム以上のいずれか、または両者をいう。

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デジタル大辞泉 「高脂血症」の意味・読み・例文・類語

こうしけつ‐しょう〔カウシケツシヤウ〕【高脂血症】

血液中の脂質値が異常に高い症状。総コレステロール中性脂肪LDLコレステロール(悪玉)の値が基準値より高く、HDLコレステロール(善玉)の値が基準値より低いなど、脂質の値に異常がある状態の総称。日本動脈硬化学会が平成19年(2007)に発表した指針により、前記の診断基準から総コレステロール値がはずされ、さらにHDLコレステロール値が低い状態を「高脂血症」とよぶのは適切でないということから、名称も「脂質異常症」に変更された。

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百科事典マイペディア 「高脂血症」の意味・わかりやすい解説

高脂血症【こうしけっしょう】

血液中に存在する,コレステロールリン脂質中性脂肪(トリグリセライド),遊離脂肪酸の4種の血清脂質が異常に多い状態。4種のうち,コレステロール値が高い高コレステロール血症と,中性脂肪値の高い高トリグリセライド血症が問題となる。高トリグリセライド血症は血清1dl中150mg以上のものをいい,糖尿病高尿酸血症痛風脂肪過多症などのときに起こり,また,長期にわたると脂肪肝を誘発したり,膵臓炎を起こすことがある。治療は,食事療法,運動療法,生活習慣の改善を主とし,必要に応じて脂質代謝改善薬などの薬物を使用する。
→関連項目かくれ肥満

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改訂新版 世界大百科事典 「高脂血症」の意味・わかりやすい解説

高脂血症 (こうしけつしょう)
hyperlipemia

血液中に脂肪が増加した病的状態をいう。脂肪としては通常コレステロールトリグリセリドを指す。高脂質血症hyperlipidemiaもほぼ同義語として用いられる。脂肪は血液中でアポリポタンパク質と複合体を形成して存在しているので,近年その複合体の質的異常としてとらえ,高リポタンパク質血症hyperlipoproteinemiaの名称がよく使われている。高リポタンパク質血症は成因によって家族性と続発性とに大別される。家族性高リポタンパク質血症はⅠ型からⅤ型に分類され,Ⅰ型はリポタンパク質リパーゼの先天的欠損によるカイロミクロン血症を特徴とし,Ⅱ型はLDL低比重リポタンパク質)受容体の欠損に基づく高コレステロール血症である。Ⅲ型ではアポEに異常があって,コレステロールもトリグリセリドも増加する。Ⅳ型は高トリグリセリド血症,Ⅴ型はカイロミクロンと超低比重リポタンパク質とがともに増加する。続発性高リポタンパク質血症は糖尿病のほか甲状腺,肝臓腎臓などの臓器の疾患に合併して起こる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「高脂血症」の意味・わかりやすい解説

高脂血症
こうしけつしょう
hyperlipidemia; hyperlipemia

血液中のコレステロールや中性脂肪など,1つまたはそれ以上の脂質分画が増加し,正常値をこえた状態をいう。特に血清が白濁して,トリグリセリド濃度の増加している場合をさすこともあるが,現在では高脂質血症,高リポ蛋白血症と同義語として使われることが多い。高脂血症のうち,脂質各成分の増加を表現するときは,それぞれ高コレステロール血症,高グリセリド (中性脂肪) 血症,高リン脂質血症というように呼ぶ。これらは動脈硬化,ことに冠状動脈硬化症進展に関係が深いので,注目されている。高コレステロール血症は,主として動物性脂質の摂取過剰とその処理不全によることが多いが,ネフローゼ,糖尿病,閉塞性黄疸に伴うものや,家族性のものなどがある。高リン脂質血症は各種の脂質代謝異常で起るが,高コレステロール血症と合併することが多い。家族性の高リポ蛋白血症,閉塞性黄疸,甲状腺機能低下症,糖尿病,ネフローゼなどが原因となる。また,細胞における脂質代謝障害を総称してリピドーシスと呼ぶが,脂質は血液中では蛋白質と結合してリポ蛋白として存在しているので,臨床的には,血中リポ蛋白濃度が異常に増加または減少するリポ蛋白異常症をさす。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「高脂血症」の意味・わかりやすい解説

高脂血症
こうしけつしょう
hyperlipemia

従来、中性脂肪(トリグリセライド、トリグリセリド)数値、コレステロール数値、あるいはHDLコレステロール(高比重リポタンパクコレステロール)数値の異常を高脂血症と総称していたが、HDLコレステロール数値は分けて考えるべきという指摘と、欧米の慣習を取り入れて脂質異常症とされた。

[中村治雄・編集部]

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知恵蔵 「高脂血症」の解説

高脂血症

血清脂質にはコレステロール(遊離型、エステル型)、トリグリセリド(中性脂肪)、リン脂質、遊離脂肪酸などがあり、いずれもたんぱく質と結合している。たんぱく質と脂質の結合した物質をリポたんぱく質という。高脂血症は、これらの脂質やリポたんぱく質が血中で増加する。リポたんぱく質にはカイロミクロン、低比重リポたんぱく質(LDL : low density lipoprotein)、高比重リポたんぱく質(HDL : high density lipoprotein)などがある。食事の影響が大きく、動脈硬化症と深い関係がある。

(今西二郎 京都府立医科大学大学院教授 / 2007年)

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生活習慣病用語辞典 「高脂血症」の解説

高脂血症

血液中にコレステロールや中性脂肪などの脂肪分が異常に増える状態のことで、自覚症状はほとんどありません。脂肪分 (脂質) は生きていく上で必要な成分ですが、多すぎると動脈硬化が進行し、脳卒中、心筋梗塞などを引き起こす原因となります。

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世界大百科事典(旧版)内の高脂血症の言及

【動脈硬化】より

…ところが,脳卒中の内容をみると,脳梗塞による死亡が3.9人から59.8人と約15倍に増えてきており,70年に脳出血と脳梗塞の比がついに逆転した。(94年の虚血性心疾患の対10万年死亡率は74人,脳卒中は97人,うち脳梗塞は54.4人である)このように,近年日本においても虚血性心疾患や脳梗塞,いいかえれば動脈硬化性疾患が増加の一途をたどっているという事実は,大都市の一部において食餌性の高脂血症に伴った虚血性心疾患がみられ,しかも30歳代の心筋梗塞をしばしば経験するようになったことからも十分うなずける。
[動脈硬化の危険因子]
 動脈硬化症の成因は多元的なものとみなされており,高脂血症などの体液因子,血管壁の代謝異常や高血圧による局所的因子,食事組成やストレスなどの社会文化的条件,それにこれら多元的な因子の根底に遺伝的因子が存在している。…

※「高脂血症」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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