知恵蔵2010の解説
インドネシア現代史の一大転機を成したクーデター事件。これを機にスカルノからスハルトへと最高権力者が交代、国政の基本方針も新旧植民地・帝国主義打倒から、経済開発政策へと大転換される。1965年9月30日の深夜、ジャカルタで陸軍左派が陸軍首脳7人を拉致、うち6人を殺害して革命評議会を結成した。陸軍戦略予備軍司令官だったスハルトは直ちにクーデター派を鎮圧。その後、スカルノ大統領を支えていたインドネシア共産党がクーデターの陰の主役とされて大弾圧を受け、スカルノも容共派として権力をはく奪され、68年3月にはスハルトが正式に第2代大統領に就任した。党員や同調者とされた中国系住民を中心に約50万人が虐殺された。共産党は非合法化された。これで、アジアで最も早く1920年に創立され、64年頃には党員300万人、傘下組織2000万人を誇った前衛政党は消滅。スハルトは国民の事件への記憶を意図的に操作し、30年余に及ぶ独裁体制構築に利用した。98年のスハルト失脚後に出回った、事件の首謀者の1人だったラティフ元中佐の軍法会議での上申書によれば、スハルトはクーデター計画に初めから関与しており、事件の本質はスハルトによる「闇のクーデター」だったという。
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片山裕神戸大学教授
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出典:(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2007」
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