《ウィレハルム》(読み)うぃれはるむ

世界大百科事典(旧版)内の《ウィレハルム》の言及

【ウォルフラム[エッシェンバハの]】より

…この宮廷でウォルフラムの活躍するいわゆる〈ワルトブルクの歌合戦〉は後代詩人の創作であるが,おそらくウォルフラムと中世最大の抒情詩人ワルター・フォン・デル・フォーゲルワイデとの出会いはあったであろう。彼の作品は3編の叙事詩と8編の抒情詩が伝えられるが,代表作《パルチファル》(1200‐10ころ成立)は,純粋な愚直者が冒険と過誤を繰り返しながら聖杯王の座にたどりつくまでの精神的発展過程を描いた壮大な騎士叙事詩であり,未完の叙事詩《ウィレハルムWillehalm》(1212‐20ころ成立)は方伯ヘルマンの委託によるフランスの武勲詩の自由な翻案で,キリスト教的騎士と異教徒サラセン人とのあいだの戦いを通してキリスト教的寛容と博愛と夫婦愛を賛美している。ほぼ成立時期を同じくする断片《ティートゥレルTiturel》は,《パルチファル》の作中人物ジグーネのミンネ(愛)の物語で,英雄叙事詩の詩節(ティートゥレル詩節)の採用が試みられている。…

【ゴットフリート】より

…未完の理由は彼の死とも,詩作上の行詰りとも言われる。彼が作中で暗にウォルフラムのことを〈奇妙な物語の創作者〉などと嘲笑したのに対して,ウォルフラムが《ウィレハルム》の中で〈パルチバルをけなして自分の物語を引き立たせようとする者が多い〉と応酬した話は有名である。ゴットフリートはシュタイナハBligger von Steinachとアウエのハルトマンを詩作上の典範としているが,特に後者の詩文を〈水晶のような言葉〉と賛美している。…

※「《ウィレハルム》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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