《トパーズ》(読み)とぱーず

世界大百科事典(旧版)内の《トパーズ》の言及

【フランス映画】より

…そして仏独英3ヵ国語版が製作されたドライヤーのトーキー第1作《吸血鬼》(1931)は興行的に失敗するものの,〈音の対位法〉を探求したクレールのトーキー第1作《巴里の屋根の下》(1930)はフランスの〈トーキー映画の宣言〉となり,また,クレジットタイトルを画面に文字で出す代わりにすべて音声化,すなわち朗読してしまうというトーキーならではの試みを実現したレルビエ監督《黄色の部屋》(1930)などの成功をへて,フランス映画はトーキー時代に入る。 この時期に注目されるのは,マルセル・パニョルとサッシャ・ギトリー(ギトリー父子)という2人の演劇人の活躍で,とくにパニョルは,自作の戯曲がまずアレクサンダー・コルダ監督によって(《マリウス》1931),次いでルイ・ガスニエ監督によって(《トパーズ》1932),そしてマルク・アレグレ監督によって(《ファニー》1932)映画化されたのに刺激され,33年には映画雑誌《レ・カイエ・デュ・フィルム》を創刊し,サイレント映画がパントマイムの具象化であり完成であったのに対して〈トーキーは演劇の具象化であり再創造である〉という独特のトーキー映画論を展開,自分の映画会社を創立し,マルセイユに撮影所を建設して,みずから製作・監督に乗り出し,《アンジェール》(1934),《セザール》(1936),《二番芽》(1937),《ル・シュプンツ》《パン屋の女房》(ともに1938)等々を映画化,レーミュ,フェルナンデルといった南フランスのマルセイユなまりの名優に成功をもたらした。同じころパリでは〈芝居の神さま〉といわれたブールバール劇の作者であり演出家であり俳優であるサッシャ・ギトリーも自作の戯曲を次々に映画化し,《とらんぷ譚》(1936),《王冠の真珠》(1937)等々で徹底的な話術,〈語り〉の芸で映画に新形式をもちこみ(のちにオーソン・ウェルズに強い影響を与えた),パニョルとともに,フランス映画史に特異な地位を占めるに至った。…

※「《トパーズ》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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