世界大百科事典(旧版)内の《ヒッポクラテス全集》の言及
【ギリシア科学】より
…同じ時期に,アテナイにおけるこうした自然学とは別に発展したギリシア科学のもう一つの重要な流れは,小アジア沿岸のコス島を中心に発達したヒッポクラテスの医学である。ヒッポクラテス自身はソクラテスと同時代の人であるが,いわゆる《ヒッポクラテス全集》は,彼自身の著作だけでなくアリストテレスの時代にまで至る多様なものを含んでいる。それはイオニアの自然学と同様に,超自然的なものを排して経験を重んじ,四体液説に拠りながらも哲学的思弁には深入りせず,〈自然の治癒力〉をもとにして予後と摂生を重視し,注意深い観察と冷静な判断を行って,ギリシアの実証的で合理的な精神をみごとに体現している。…
【ヒッポクラテス】より
…彼にはテッサロスとドラコンという2人の医者の息子がいたが,医学者としては女婿のポリュボスがすぐれていた。 現存する70編の《ヒッポクラテス全集Corpus Hippocraticum》は,若干の作を除くと,前3世紀初めプトレマイオス1世治下のアレクサンドリアの学者や図書館員によって編纂されたものである。その土台となったのは前5世紀半ばころから前4世紀半ばころまでの間に成立したヒッポクラテス自身の作と他のコスの医者たちの作を含むコス学派の叢書で,それと相並ぶクニドス学派の作も採られた。…
※「《ヒッポクラテス全集》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」