《往生論註》(読み)おうじょうろんちゅう

世界大百科事典(旧版)内の《往生論註》の言及

【浄土教】より

…日本の法然,親鸞らを導いた純浄土教義と信仰は,北魏末の曇鸞(どんらん)に始まり,道綽(どうしやく)を経て善導によって大成される。はじめ竜樹系の空思想に親しんでいた曇鸞は,洛陽でインド僧の菩提流支に会い,新訳の世親撰《無量寿経論》を示されて浄土教に回心し,のち山西の玄中寺でこれを注解した《往生論註》を撰述し,仏道修行の道として仏の本願力に乗ずる易行道につくことを宣布するとともに,いわゆる〈浄土三部経〉を浄土往生の信仰の中心とする浄土教義をうちたてた。〈浄土三部経〉とは,三国魏の康僧鎧訳《無量寿経》と南朝宋の畺良耶舎訳とされる《観無量寿経》と後秦のクマーラジーバ(鳩摩羅什)訳の《阿弥陀経》で,そのうち《無量寿経》は漢訳5本のほかにサンスクリット本とチベット本の計7種があり,阿弥陀仏の本願を説いて浄土教義の基本となり,《阿弥陀経》はサンスクリット本やチベット本もあり,浄土のありさまを簡潔にまとめているので,最もよく読誦あるいは書写されて浄土教を普及したのに対し,《観無量寿経》はサンスクリット原典が残存せず,中央アジア撰述説,中国撰述説などが唱えられている経典である。…

【浄土論註】より

…中国,北魏の僧曇鸞(どんらん)(476‐542)の主著。インドのバスバンドゥ(世親または天親)の《浄土論》に対する注釈で,《往生論註》ともいい,《論註》《註論》とも略称される。2巻。…

【曇鸞】より

…しかし洛陽で,北インドからきていた菩提流支に会い,仏教にも無量寿の法があると,新訳なったばかりの世親撰《無量寿経論》(一説に《観無量寿経》)を授けられて大いに恥じ入り,《仙経》を焼いて浄土教に回心し,のちには汾州の石壁玄中寺に住した。いわゆる〈浄土三部経〉(《無量寿経》《観無量寿経》《阿弥陀経》)を浄土往生の信仰の聖典とし,《無量寿経論》の注釈たる主著《往生論註》のほか,阿弥陀仏への賛美歌ともいうべき《讃阿弥陀仏偈》を著し,〈難行道〉を捨てて仏願力に乗ずる〈易行道〉につくべきことを宣布し,浄土教義を確立した。その教義は,道綽(どうしやく),善導をへて日本に伝わり,法然,親鸞,とくに親鸞の浄土教義の基礎となった。…

※「《往生論註》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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