《急いで下りろ》(読み)いそいでおりろ

世界大百科事典(旧版)内の《急いで下りろ》の言及

【ウェイン】より

…オックスフォード大学のセント・ジョンズ・カレッジ卒業後,1947年から55年までレディング大学で教え,文筆に専念するため辞職。処女作《複雑な気持》(1951)で最初詩人として出発したが,当時の根なし草で無礼な若者を描いた一種のピカレスク小説《急いで下りろ》(1953)で〈怒れる若者たち(アングリー・ヤング・メン)〉の一人として一躍有名になり,《現在に生きること》(1955),《競争者たち》(1958),《旅する女》(1959),《父親を殴り殺せ》(1962),《山の冬》(1970)など長編を継続的に発表し,モーム賞を受賞(1958)しているが,その作風は徐々に深みを増し,彼が単なる反因襲派ではないことを示している。また《神の前に泣け》(1961)ほかの詩集だけでなく,《アーノルド・ベネット》(1967),《サミュエル・ジョンソン》(1974)などの評論活動も多く,エーミスなどとともに50年代に現れた政治的に中立で知的に経験主義を重んじるニュー・ムーブメントの代表的存在である。…

【ネオ・ピカレスク小説】より

…第2次世界大戦後の1950年代からイギリスで流行した一連の小説に与えられた名称。J.B.ウェインの最初の小説《急いで下りろ》(1953)などがその典型で,主人公がまっとうな社会に属することを拒否し,職を転々と変えながら,既存の社会体制に対する痛烈な風刺の矢を加えていく。一貫した筋はなく,挿話の連続で,主人公の性格上の発展や精神的成長はない。…

※「《急いで下りろ》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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