世界大百科事典(旧版)内の《極北のナヌック》の言及
【極北の怪異】より
…〈劇映画が空疎に見える真実の魅力〉と評されたこの長編記録映画の第1作によって,フラハティは〈ドキュメンタリー映画の父〉と呼ばれるまでに至る。ナヌックというエスキモーの男を主人公に,現地ロケでカナダ極北居住民族の生活風俗を描く(《極北のナヌック》という原題でも知られる)。イグルー(氷の家)は実際には小さすぎて内部の撮影には使えず,映画のために特大のイグルーをつくったことなどからも明らかなように,全編単なる実写ではなく,《ドキュメンタリィ映画》の著者ポール・ローサが分析しているように,〈映画のために用いられた素材は現実の生活から撮影され,その存在を十分に理解してもらううえでのイメージの選択によって,実際に記録された“現実”となっている。…
※「《極北のナヌック》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」