《永州八記》(読み)えいしゅうはっき

世界大百科事典(旧版)内の《永州八記》の言及

【山水遊記】より

…自然の風景を遊覧した記録。美しい風景を描写する文章は,北魏の酈道元(れきどうげん)の地理書《水経注》にすでに見られるが,唐の柳宗元が華南に流謫(るたく)され,北方と異なる山水の美を自らの感慨をまじえて記述した《永州八記》が模範となり,その後,親しく遊覧した山水を記述する文学が多く作られた。宋代では,范成大《呉船録》,陸游《入蜀記》のように紀行文が単に旅程の記録にとどまらず,風景描写を含み,遊記の性格を持つものが生まれた。…

【柳宗元】より

…散文家として,韓愈とともに自由に主張を述べられる古文文体を唱え,唐宋八大家の一人である。官途に挫折し,華南の山水の美に接したことによって,感慨と風景描写とが融合した〈永州八記〉などの文章を書き,叙景文の模範とされる。政治批判は,失脚によって寓言などの比喩形式をとらざるをえなくなり,そのため形象性が豊富となって,思想と表現とが適切に融合を遂げた散文文学を作りあげた。…

※「《永州八記》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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