《熊谷先陣問答》(読み)くまがいせんじんもんどう

世界大百科事典(旧版)内の《熊谷先陣問答》の言及

【熊谷直実】より

…近世に入ると,浄瑠璃の《一谷嫩軍記(いちのたにふたばぐんき)》(1751初演)が名高いが,三段目(切,生田熊谷陣屋)はよく知られており,義経の内意を悟った直実が,表面は敦盛を討ち取ったと見せ,一子小太郎を身替りに立てるという改変を行っている。そのほか同じ浄瑠璃に,延宝期(1673‐81)に宇治加賀掾の語った《念仏往生記》や享保期(1716‐36)の説経節,天満八太夫の正本《熊谷先陣問答》があるが,共通したモティーフとして,出家した熊谷の庵を,父と知らず訪ねた姉弟に,名のりをせずして帰してしまう道心堅固な直実の像が語られている。高野山に隠遁した直実は,重源(ちようげん)を中心とする新別所の社友と深い関係にあったことなどが,二つの作に働きかけ,高野聖としての熊谷の面影を浮上させたものといえる。…

※「《熊谷先陣問答》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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