《生きてゐる兵隊》(読み)いきているへいたい

世界大百科事典(旧版)内の《生きてゐる兵隊》の言及

【戦争文学】より

…明確な反戦・反軍的な作品が現れたのは,シベリア出兵の体験に取材した黒島伝治の《渦巻ける烏の群》(1928)以後で,昭和初期にかけて,立野信之《軍隊病》(1928),黒島伝治《武装せる市街》(1930)のほか,左翼文芸家総連合編の《戦争ニ対スル戦争》(1928)などが書かれた。やがて日中全面戦争が勃発し,石川達三の《生きてゐる兵隊》(1938)が発禁となって,以後,中国大陸に派遣された〈ペン部隊〉とよばれる従軍作家たちは,戦争を全肯定する立場でしか作品を書けなくなった。わずかに,兵士としての火野葦平の《麦と兵隊》《土と兵隊》(ともに1938)や,上田広の《黄塵》(1938)などが戦場の一面を伝えたにとどまった。…

【中央公論】より

…樗陰のつくりあげた伝統は嶋中雄作によって受け継がれ,その自由主義的編集は,昭和10年代のファシズム期にしばしば言論弾圧を被らざるをえなかった。石川達三《生きてゐる兵隊》事件はその代表的なものであり,1944年には横浜事件を契機に廃刊に追い込まれた。第2次大戦後の46年1月号から復刊。…

※「《生きてゐる兵隊》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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