《芸術家列伝》(読み)げいじゅつかれつでん

世界大百科事典(旧版)内の《芸術家列伝》の言及

【伝記】より

…すでにローマ時代,スエトニウスの《皇帝伝》は,ゴシップ的な語り口で,12人の帝王の風貌と性行を鮮やかに浮かび上がらせて近代伝記を先駆する趣があり,歴史家タキトゥスの鋭利な人物描写の冴えとともに忘れがたい。しかし伝記ジャンルのめざましい発達は,やはりルネサンス以降の話で,とくにイタリアのバザーリによる《もっともすぐれた画家,彫刻家,建築家の生涯》(《芸術家列伝》,1550)は,その顔ぶれの包括的なこと,多様なエピソードの織りこみ方の巧みさできわだっている。一体,帝王,聖者,英雄とは無縁の存在である芸術家を伝記の対象に選んだこと自体,ルネサンス的な人間解放と個人主義のみごとな成果にほかならない。…

【バザーリ】より

…画家としてはミケランジェロとラファエロを折衷した技巧的なマニエリストで,その代表作はフィレンツェのパラッツォ・ベッキオのフレスコである。彼のもっとも重要な業績は,チマブエから彼の同時代にわたるルネサンスの芸術家たちの伝記《芸術家列伝》(1550,68。正しくは,《もっとも著名な画家,彫刻家,建築家の伝記》)であり,この著作において彼は,芸術史の展開の諸段階(3段階)を分類し,16世紀(とくにミケランジェロの芸術)をその最高の完成の段階であるという史観を示した。…

【美術史】より

…前者は,実際に残されている神殿や彫刻についての説明で,中世の巡礼案内やルネサンス以降の都市案内記を経て,現代の美術館(および展覧会)のカタログにまでつながるものであり,後者は,芸術家の伝記的研究の原初的形式といえる。この両者は,中世においても多かれ少なかれ存在したが,しかし,作品や芸術家を時間の流れのなかに位置づけようとした明確な歴史意識が登場してくるのは,ルネサンス期,とくに,G.バザーリの《芸術家列伝》(1550。第2版1568)においてである。…

※「《芸術家列伝》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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