《裏窓》(読み)うらまど

世界大百科事典(旧版)内の《裏窓》の言及

【スリラー映画】より

… テレビジョンの脅威にさらされて映画がワイド・スクリーンとカラーの時代を迎えた1950年代は,小さいモノクロのスクリーンになじんできたスリラー映画にとって,ある意味では試行錯誤の時代でもあったが,作家たちはいわばその卑屈なまでの暗い心情から,マッカーシー時代と冷戦下の政治的に緊張した雰囲気に結びついた《拾った女》(サミュエル・フラー監督,1953),《復讐は俺に任せろ》(フリッツ・ラング監督,1954),《キッスで殺せ》(ロバート・アルドリッチ監督,1955)などの傑作を生んだ。ヒッチコックは,1本の映画を1人の人間の視点から撮るという映画的テクニックの極致に挑戦した《裏窓》(1954)に続いて,最初のビスタビジョン・スリラー《泥棒成金》(1955)をつくった。 いわば伝統的なスリラー映画の最後を飾ったバッド・ベティカー監督《暗黒街の帝王レッグス・ダイヤモンド》(1960)とサミュエル・フラー監督《殺人地帯USA》(1960)のあと,《007》シリーズが登場した60年代以降は,スリラー映画とよばれる作品は《動く標的》(1966),《ブリット》(1968),《フレンチ・コネクション》(1971),《ダーティハリー》(1971)など,カー・チェイスや暴力を主体にしたいろいろな傾向を生んで多様化して,アメリカでは《ゴッドファーザー》(1972)や《ジョーズ》(1975)までスリラー映画の範疇(はんちゆう)に数えられているが,他方,伝統的な犯罪映画としてのスリラーは〈フィルム・ノワールfilm noir〉(フランス語で暗黒映画の意)と呼ばれて区別されている。…

※「《裏窓》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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