『源氏物語』(読み)ゲンジモノガタリ

とっさの日本語便利帳 「『源氏物語』」の解説

『源氏物語』

紫式部作。平安中期、一一世紀初の成立。『竹取物語』に始まる物語文学、『伊勢物語』などの歌物語、『蜻蛉日記』以降の女流日記文学などの流れの交点に生まれた、量的にも質的にも世界に類例を見ぬ一大長篇物語。壮大な恋愛ロマンであると同時に、宮廷生活、貴族社会を中心とした世相を描き込んだ優れた風俗小説、心理小説でもある。後世和歌を始めとする文芸ジャンル、美術に多大な影響を及ぼした。第一部では、帝の子として生を受けながらも、源氏の姓を名乗って臣下となったこよなき美貌の持ち主、光源氏の生い立ちと華やかな恋愛生活が、須磨明石での流離生活と復権して栄達するまでの過程が物語られる。第二部では、父の妃との若き日の罪過がもたらす、光源氏の孤独で暗い晩年が、第三部では、光源氏没後の源氏にまつわる人々が織り成す愛と宿命絵図が語られていく。

『源氏物語』

紫式部
いづれの御時にか、女御更衣あまた侍ひ給ひけるなかに、いとやむごとなき際にはあらぬが、すぐれて時めき給ふありけり。\(一〇〇八頃)

出典 (株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」とっさの日本語便利帳について 情報

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