あいだてない

精選版 日本国語大辞典 「あいだてない」の意味・読み・例文・類語

あいだて‐な・い

〘形口〙 (「あいたてない」とも) 衝動的で抑制することのないさまにいう。
① 度が過ぎるさま。むやみやたらだ。途方もない。
※漢書列伝竺桃抄(1458‐60)張馮汲鄭第二〇「唐土には人の気が大て易子食なんどとて我が子を食へばあまりあいたてなさに互に人の子に換て食ぞ」
② わきまえがない。無分別だ。無思慮だ。考えがない。
※俳諧・季吟十会集(1672)「男山われもむかしは姥そだち〈季吟〉 あいたてなくもそれるさかやき〈玄三〉」
遠慮がない。ぶしつけだ。
浮世草子・沖津白波(1702)二「こりゃ是までがやはらかな紅(もみ)じゃといひさま、あいだてなく二幅(ふたの)まで引はづし」
④ わがままだ。勝手気ままだ。
※浮世草子・商人軍配団(1712か)二「親のある娘は、あいたてなくそだちて世事にうとく」
⑤ 盲目的にかわいがるさま。猫かわいがりである。
※浮世草子・世間娘容気(1717)一「よめは父母のあいたてなくそだてられし、いとけなき時の調子今にあらためず」
あいだてな‐さ
〘名〙

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「あいだてない」の意味・読み・例文・類語

あいだて‐な・い

[形][文]あいだてな・し[ク]《「あいだちなし」の音変化か。近世語
無作法である。ぶしつけである。
「これは―・い。盃を出させられた」〈和泉流狂・庵の梅〉
分別がない。
「子を寵愛の―・く、時の座興深戯ふかざれも」〈浄・鑓の権三
不相応である。とんでもない。
「さてもさても。―・いことをかき入れておかれたは」〈続狂言記・荷文〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

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