あからさま(読み)アカラサマ

デジタル大辞泉 「あからさま」の意味・読み・例文・類語

あから‐さま

[形動][文][ナリ]
包み隠さず、明らかなさま。また、露骨なさま。「あからさまに非難する」「あからさま敵意を示す」
物事が急に起こるさま。にわかなさま。
嗔猪いかりゐ草中より―に出でて人をふ」〈雄略紀〉
一時的なさま。ほんのちょっと。
「をかしげなる稚児ちごの、―にいだきて遊ばしうつくしむほどに」〈・一五一〉
(「あからさまにも」の形で、あとに打消しの語を伴って)かりそめにも。まったく。
「―にもあどなき事をばすまじき事なり」〈著聞集・二〇〉
[類語]あらわ露骨むきだしざっくばらん開けっ広げ開けっ放し明け透け単刀直入ずばり直截ちょくせつ率直開放的ずけずけ大っぴら赤裸赤裸裸筒抜けガラス張り公然表沙汰フランク歯にきぬ着せぬ露出裸出丸出し露呈漏洩ろうえい漏れる漏洩ろうせつ・漏れ出る・漏らす漏出リーク露見発覚ばらすばれる暴露暴く暴き立てるぽんぽん口さがない口が悪い口うるさい口やかましい辛口毒舌ずばずばストレートダイレクトき出しえげつない遠慮会釈もない無遠慮言いたい放題啖呵たんかを切る

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「あからさま」の意味・読み・例文・類語

あから‐さま

〘形動〙
[一]
① 物事の急に起こるさま。卒爾(そつじ)。にわか。たちまち。あからしま。あかさま。あかしま。
書紀(720)雄略五年二月(前田本訓)「俄にして、逐はれたる嗔猪(いかりゐ)草の中より暴(アカラサマ)(〈別訓〉ニハカニ)出でて人を逐ふ」
※栄花(1028‐92頃)衣の珠「『昔恋しければ、見奉らむ。渡し給へ』とあからさまにありければ」
② 一時的であるさま。ついちょっと。かりそめ。「あからさまにも」の下に打消の語を伴って、「かりそめにも…しない。全く…しない」の意となることもある。
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「あからさまの御ともにもはづし給はず」
方丈記(1212)「おほかた、この所に住みはじめし時は、あからさまと思ひしかども」
[二] (明様) ありのままで、あらわなさま。明白なさま。
※浮世草子・好色一代男(1682)一「亭(ちん)遠眼鏡を取持て、かの女を偸間(アカラサマ)に見やりて」
[語誌](1)「あから」は元来「物事の急におこるさま」「物事のはげしいさま」を表わすが、次第に「にわか・急」「ついちょっと・かりそめ」などの意に転じていった。しかし、「にわか・急」の意には「すみやか」「にはか」「たちまち」などの語が用いられるため、「あからさま」は「ついちょっと・かりそめ」の意に固定していったと考えられる。
(2)時代が下ってから(二)の用法が出て来るが、これは「明から様」と意識したことによると考えられる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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