あぐり

精選版 日本国語大辞典 「あぐり」の意味・読み・例文・類語

あぐり

〘名〙 女の子ばかり生まれて男の子が生まれない時、これが最後の女児であるようにという希望で付ける名前。また、生まれた子がうまく育たない家で、この名を付けるとその女の子は順調に成育するともいう。
※岩松新田文書‐弘安元年(1278)一〇月三日・道覚譲状写「西田嶋内田二町・在家一宇、あくり御前に譲所也」
[語誌]菅江真澄は「溢(あふ)れる」の意の東北方言「あぐる」の名詞形であるとして、「信濃越後出羽陸奥などに、あぐりといへる女房の名あり。そは女子あまた産(もち)て女子に飽く〈秋田津軽詞に溢る事をあくるといへり〉てふ意をもてしかいへり。かくてあぐりこと末なる女子を名づくれば、こたびは必ず男子生めりといふためしありけるとなん」〔しののはぐさ〕と言い、また喜田貞吉は「あまり」の意の転じた語〔あぐりといふ名、あぐりという姓〕という。

あぐり

〘副〙 (多く「と」を伴って用いる) =あんぐり
※滑稽本・七偏人(1857‐63)初「煉羊かんをあぐりと喰(くら)って」

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朝日日本歴史人物事典 「あぐり」の解説

あぐり

生年生没年不詳
南北朝室町時代の女性。豊後国大野荘(大分県直入郡)の領主志賀頼清の娘。永徳1/弘和1(1381)年,父頼清から笠和郷富成名15貫文分,つなかうら,河原,筑後国みぬま荘,大野荘内夏足名などを譲られた。嫡女でありながら,志賀氏の根本所領である大野荘内志賀村南方や新恩給与の地,直入郷を知行できなかった点に,鎌倉期の志賀氏の女性との差が表れているが,南北朝期の女性領主のひとりとして注目される。<参考文献>『志賀文書』

(田端泰子)

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デジタル大辞泉プラス 「あぐり」の解説

あぐり

NHKのドラマシリーズ「朝の連続テレビ小説」の作品のひとつ。1997年4月~10月放映。脚本:清水有生。音楽:岩代太郎。出演:田中美里、野村萬斎、里見浩太朗、星由里子ほか。原作は、吉行あぐりの自伝的小説「梅桃(ゆすらうめ)が実るとき」。洋髪美容師の草分けとして戦時中苦難にめげずに生き抜くヒロイン・あぐりの姿を描く。作家吉行淳之介と女優・吉行和子の母である、美容家の吉行あぐりがモデル。

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