あんす

精選版 日本国語大辞典 「あんす」の意味・読み・例文・類語

あん・す

〘自サ特活〙 (「あります」の変化した語。一説に「ある」に「んす」の付いた語という) 「ある」の丁寧表現。遊里語・通人語として用いられたが、奴(やっこ)や男達(おとこだて)などにも用いられた。
① 「来る」「行く」などの意に軽い敬意をこめていう。
仮名草子・都風俗鑑(1681)三「誠にぬれの最ちうにてあんすであんす」
② (補助動詞として、「であんす」の形で) であります。です。
浮世草子・好色一代男(1682)六「お使誰しや、鶴屋の伝左かたよりであんすあんすと申」
③ (補助動詞として、動詞連用形について) ます。
浄瑠璃・伊豆院宣源氏鏡(1741)二「コレ此喧嘩は此馬士(むまかた)が貰ひあんした」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「あんす」の意味・読み・例文・類語

あん・す

[動サ特活]《「あります」の音変化から》
「行く」「来る」の軽い丁寧語。行きます。来ます。
「近い内に―・せとて背中をたたく」〈咄・あられ酒・五〉
(補助動詞)
㋐(「…であんす」の形で)丁寧な断定の意を表す。…であります。
「これ一つ気の毒で―・す」〈咄・露がはなし・五〉
㋑動詞の連用形に付いて、丁寧の意を添える。…ます。
「この喧嘩けんくわはこの馬方が貰ひ―・した」〈浄・源氏鏡〉
[補説]一説に、動詞「ある」に助動詞「んす」の付いたものとする。近世初期、遊里語として発生し、やっこ男達おとこだてにも使われたが、のちに「やんす」「やす」に変化。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

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