デジタル大辞泉
「いさや」の意味・読み・例文・類語
いさ‐や
《「や」は間投助詞》
[副]
1 さあどうだか。→いさ1
「―また変はるも知らず今こそは人の心をみてもならはめ」〈和泉式部集・下〉
2 さあどうだかわからない。→いさ2
「歌の道のみ、古に変はらぬなどいふこともあれど、―」〈徒然・一四〉
[感]
1 明確に答えられないときなどに用いる語。さあ、どうだか。
「さてその文のことばはと問ひ給へば、―、ことなる事もなかりきや」〈源・帚木〉
2 軽く否定するときなどに用いる語。いや。でも。
「―、ありもとぐまじう思ひにたる世の中に、心なげなるわざをやしおかむ」〈かげろふ・中〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
いさ‐や
[1] 〘感動〙
※宇津保(970‐999頃)蔵開上「三宮の『昔より数にも侍らぬ身なれば、誰かはさ思ひ侍らん』
大宮『などかはさおぼさるる』女御の君『いさや、この御心にぞ見給へわびぬる』」
※
蜻蛉(974頃)中「呉竹植ゑんとて乞ひしを、このごろ、奉らんといへば、いさや、ありもとぐまじう思ひにたる世の中に、心なげなるわざをやしおかん」
[2] 〘副〙
① さて(わからない)。どうだか(知らない)。→
いさ(二)①。
※後撰(951‐953頃)恋一・五二六「
淵瀬ともいさやしら波立ち騒ぐわが身一つはよるかたもなし〈よみ人しらず〉」
② どうも(…できない)。とても(…しがたい)。→
いさ(二)②。
※
源氏(1001‐14頃)
松風「桂に見るべきこと侍るを、いさや心にもあらで、ほど経にけり」
③ さあどうだか知らない。わからない。→
いさ(二)③。
※宇津保(970‐999頃)
藤原の君「秋の色も露をもいさやをみなへし木隠れにのみおくとこそみれ」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報