うつたえに(読み)ウツタエニ

デジタル大辞泉 「うつたえに」の意味・読み・例文・類語

うつたえ‐に〔うつたへ‐〕

[副]多くあとに打消しや反語を伴って)いちずに。むやみに。
「―鳥はまねど縄へてらまく欲しき梅の花かも」〈・一八五八〉
「―かうておはすらんと思ひよらんやは」〈浜松・一〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「うつたえに」の意味・読み・例文・類語

うつたえ‐に うつたへ‥

〘副〙 ある一つの事だけに向かうさまにいう。いちずに。むやみに。全く。
(イ) あとに打消の語または反語による否定表現を伴って用いる。
万葉(8C後)四・五一七「神樹(かむき)にも手は触るといふを打細丹(うつたへに)人妻と言へば触れぬものかも」
源氏(1001‐14頃)藤袴「とみにも許さで持(も)給へれば、うつたへに思ひ寄らで取り給ふ御袖をひき動かしたり」
(ロ) 院政期以後、肯定表現を伴って用いたこともある。
※新勅撰(1235)恋一・六七五「松が根を磯辺の浪のうつたへにあらはれぬべき袖の上かな〈藤原定家〉」
[補注]「未必」の訓にも当てられ、否定表現と呼応する陳述副詞としての側面が強い。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android