デジタル大辞泉
「おろおろ」の意味・読み・例文・類語
おろ‐おろ
[副](スル)
1 驚きや悲しみなどの衝撃でうろたえるさま。「父の死にただおろおろ(と)するばかりだった」
2 声を震わせ、涙を流して泣くさま。
「涙―と落しながら」〈露伴・艶魔伝〉
3 不十分なさま。ざっと。
「この事知りたる聖はありと聞き侍りしか、と―言ひ出たりけるを」〈無名抄〉
4 全体に行きわたらないさま。ところどころ。
「髪もはげて、白きとても―ある頭に」〈宇治拾遺・一一〉
[類語]へどもど・おたおた・うろうろ・まごまご・しどろもどろ
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
おろ‐おろ
(「おろか(疎)・おろそか(疎)」などの「おろ」と同源の「おろ」を重ねた語)
[1] 〘形動〙 不十分なさま。いいかげんなさま。
※中外抄(1137‐54)久安元年八月一一日「ゆゆしげにおろおろなる
直衣きてありき」
[2] 〘副〙
[一]
① 不十分なさま。いいかげんなさま。どうやらこうやら。ふじゅうぶんながら。
※
宝物集(1179頃)「
紫金山の鳥の黄なる翅の、をい侍るなるやうに、をろをろ承り侍れば、
諸行は無常なりと観ずるを」
※宇治拾遺(1221頃)一「さきの翁よりは、
天骨もなく、おろおろかなでたりければ」
② 部分的で、全部にいきわたらないさま。まばらに。ところどころ。
※
江談抄(1111頃)三「三年と云八月十五夜、をろをろくもりたるに」
③ ぼつぼつ。とりとめなく。
※無名抄(1211頃)「『
渡辺といふ所にこそ、此事知りたる聖はありと聞き侍しか』とをろをろいひ出たりけるを」
[二] (「と」を伴って用いることが多い)
① どうしてよいかわからずあわてるさま。落ち着きを失っているさま。
※
日葡辞書(1603‐04)「vorovoroto
(ヲロヲロト) スル」
※雨ニモマケズ(1931)〈
宮沢賢治〉「ヒデリノトキハナミダヲナガシ サムサノナツハオロオロアルキ」
② 涙もろい状態。声をうるませて
涙声になっているさま。
※
浄瑠璃・鑓の権三重帷子(1717)上「にらむ目の中おろおろと女は涙もろかりし」
[
語誌](二)(二)
用例は、江戸時代以前にさかのぼることができず、他の語と複合して「おろおろ船」「
おろおろ目」のように用いることも多い。また「…と」の形で用いられるところからも、「うろうろ」同様、擬態語的要素が強い。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報