お直し(読み)おなおし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「お直し」の意味・わかりやすい解説

お直し
おなおし

落語。19世紀の初めごろから行われた古い江戸の廓噺(くるわばなし)。遊女が店の若い衆といっしょになり、2人で店へ出勤していた。そのうちに男は博打(ばくち)で金がなくなる。やがて蹴転(けころ)と称する最下級女郎屋を自分で経営し、自ら客を呼び込み、女房に客をとらせる。線香1本の時間単位にくぎって、居続ける場合には「直してもらいなよ」と亭主がいい、女が改めて金をとるという方法。最初にきた客があまり女房とうまくやっているので、亭主が嫉妬(しっと)して、やたらに「直してもらいなよ」。客が去ったあとで夫婦げんか。「お前さんといつまでもいっしょにいたいから、こんなことしているのじゃないか」で仲直り。夫婦仲よく話していると、いったん出て行った客が帰ってきて「おゥ、直してもらいなよ」。江戸の女郎屋の風俗を伝える珍しい噺で、5代目古今亭志ん生が得意としていたが、時の推移で、いまでは難物となったため、演者が少ない。

[関山和夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

デジタル大辞泉プラス 「お直し」の解説

お直し

古典落語演目ひとつ。五代目古今亭志ん生が演じた。

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