かぜ・インフルエンザ(読み)かぜいんふるえんざ

食の医学館 「かぜ・インフルエンザ」の解説

かぜいんふるえんざ【かぜ・インフルエンザ】

《どんな病気か?》


〈ウイルス感染などで起こるもっともポピュラーな病気〉
 かぜは、ウイルスの感染などによって起こる鼻、のどなど上気道(じょうきどう)急性炎症です。ふつうは自然に治りますが、こじらせると、気管気管支、肺におよぶこともあります。
 かぜウイルスは200種類以上もあるといわれ、そのすべてに免疫をもつことは不可能であるため、平均して子どもでは年に7回、大人でも4回ほどはかかります。
 症状は、くしゃみ、鼻みず、鼻づまり、のどの痛み、全身の不快感などのほか、発熱、頭痛、寒け、筋肉痛、食欲不振、せきやたんなど、たいへん多岐にわたります。
 とくに、ウイルスのなかでいちばんはげしい症状を示すのがインフルエンザで、高熱と全身症状に続いて鼻炎(びえん)、咽頭炎(いんとうえん)が現れます。肺炎を引き起こすなど重症化することもあり、軽視できません。

《関連する食品》


〈栄養補給と予防に役立つレバー、緑黄色野菜〉
○栄養成分としての働きから
 かぜをひいたときには、発熱などによって代謝が高まり、エネルギー消費量がふえるので、エネルギー源を補給することがポイントとなります。とくに熱があるときは、十分な水分とビタミン、ミネラルをとりましょう。
 かぜやインフルエンザの予防には、ビタミンAをしっかりとって粘膜(ねんまく)を強化し、ウイルスの侵入を防ぐことがたいせつです。
 ビタミンAには、動物性食品に含まれるレチノールと、植物性食品に含まれ、体内でビタミンAにかわるカロテンがあり、カロテンは免疫力を高めて病気の治癒(ちゆ)を早める働きもあわせもっています。
 レチノールはレバーウナギたまご、牛乳などに、カロテンはコマツナニンジンシュンギクカボチャナノハナといった緑黄色野菜に多く含まれています。
〈ウイルスに対する抵抗力を高めるビタミンC〉
 ビタミンCには、免疫力を強化するとともに、ウイルスを撃退して治癒を早める働きがあります。
 イチゴパパイアキウイ、柑橘類(かんきつるい)といったくだものブロッコリー、ナノハナなどの野菜、ジャガイモサツマイモといったイモ類に多く含まれています。忙しい人は、かぜの予防にくだものや野菜のジュースを利用するといいでしょう。また、ひいてしまったら、イモ類をやわらかく煮たものや、ニラがゆなど消化されやすく体をあたためる料理でビタミンCを補うようにします。
 そのほか、アミノ酸の一種のレクチンには、細胞を活性化させ、かぜウイルスの増殖を防ぐ働きがあります。レクチンを多く含む食品には豆類やジャガイモがあります。インゲンマメやジャガイモをやわらかく煮(に)てスープにしてとるといいでしょう。
○漢方的な働きから
 ショウガは、漢方薬の葛根湯(かっこんとう)や桂枝湯(けいしとう)にも含まれています。すりおろして熱湯に入れ、シソ葉を加えて飲みます。かぜの初期に有効です。
 漢方では、せきにはギンナン、ダイコン、レンコン、キンカン、ナンテンの実が、のどにははちみつ、アンズ、黒豆、干し柿が効くとされています。とくに、殻をとって煮たギンナンにはちみつをかけて食べると効果的といわれています。
 また、濃い番茶でうがいをするのものどによいといわれます。お茶に含まれるカテキンには殺菌作用があるためです。同様に、紅茶にはテアフラビンという、かぜウイルスを抑制する成分が含まれているので、紅茶でのうがいも効果的です。
○注意すべきこと
 かぜをひいているときに避けたほうがよいのは、脂質と食物繊維のとりすぎです。消化機能が低下しているため、脂質が胃腸に負担をかけ、食物繊維をとりすぎて消化不良を起こすことは、体力維持に必要なミネラルやビタミンまで排出してしまうからです。アルコールも、熱があがったり、せきがひどくなったりすることがあるのでひかえましょう。
 アスピリン製剤はビタミンC強化食品(ジュースやイチゴ、レモンなど)と併用すると、消化管からの出血など、出血しやすくなることがあります。また、解熱鎮痛剤(げねつちんつうざい)や抗炎症剤は、アルコール飲料と同時に飲むと薬の効果が増強されるものがあるので、服用中は禁酒しましょう。
 背中がゾクゾクして、かぜのひきはじめかな、と思ったら、保湿と保温がたいせつです。たまご酒やホットウイスキーなど、アルコールを含んで血行促進作用があるあたたかい飲みものを飲んで、ぐっすり眠りましょう。
 のどの痛みには、昔からダイコンあめやキンカン湯、鼻づまりにはネギ味噌湯などがよいとされています。また、発熱により汗をたくさんかいたときは、水分補給を心がけ、プリンやアイスクリームなど、のどごしがよく、栄養価の高いものをとるようにします。
 夏かぜで下痢(げり)などの症状をともなうときは、スポーツドリンクなどで水分補給を心がけ、おかゆややわらかく煮込んだ野菜スープなどをとります。

出典 小学館食の医学館について 情報

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android