がったり

精選版 日本国語大辞典 「がったり」の意味・読み・例文・類語

がったり

[1] 〘副〙 (古くは「ぐゎったり」とも表記。多く「と」を伴って用いる)
① 物が倒れたり揺れたりして、響く音を表わす語。
※俳諧・宗因七百韵(1677)「蜑のかる藻にあたる汐時〈幾音〉 松嶋に入舟出舟ぐったりと〈如見〉」
② 目にみえて衰えるさま、ひどく劣っているさまを表わす語。
※防雪林(1928)〈小林多喜二〉七「夜五時になって〈略〉帰ってもいいといふことになる、身体も心も、急にガッたりする」
③ 思いきったことをするさま、豪勢なさまを表わす語。
※浮世草子・傾城色三味線(1701)大坂「末は金がらうす踏身にならふとまま、つかはふならばあたまから、ぐゎったりとした遊びこそ心よけれ」
[2] 〘名〙 ((一)①から出た語か)
当世具足の胴の背後につけて、指物をさすのに用いる金具
咄本・私可多咄(1671)一「昔、具足のさしもののうけつつさすものを、がったりといふ」
② 田などで鳥や獣をおどすのに用いる具。〔俚言集覧(1797頃)〕
③ 歌舞伎の鬘(かつら)の仕掛けの一つ。髷(まげ)の根のところに栓(せん)が差し込んであり、演技中にその栓を引くと、髷の根がゆるんで後ろへがっくり落ちるもの。「弁天小僧」浜松屋の場や「忠臣蔵六段目勘平などで使われる。

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デジタル大辞泉 「がったり」の意味・読み・例文・類語

がったり

[副]
物が倒れたり揺れたりして立てる音を表す語。
「物の音の―ともせず」〈紅葉・不言不語〉
勢いなどが目に見えて衰えるさま。「後半スピードががったり(と)落ちた」
豪勢に振る舞うさま。
「―とした遊びをして」〈浮・禁短気・四〉

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世界大百科事典(旧版)内のがったりの言及

【歌舞伎】より

…桜,梅,紅葉などの〈釣枝(つりえだ)〉を舞台の上から吊り下げたり,灯入りの月を出す大道具のくふうもある。また,鬘に〈がったり〉といって髷(まげ)の根が落ちて形が崩れる仕掛けや,《東海道四谷怪談》の〈髪梳き〉で使われる,髪が抜け落ちる仕掛けなどがあり,衣裳に〈引抜き〉や〈ぶっ返り〉の仕掛けがある。大道具には,〈屋体くずし〉や〈煽り返し(あおりがえし)〉の特殊技法のほか〈提灯抜け〉〈仏壇返し〉などの仕掛けも行われている。…

【ケレン】より

…とくに大道具に見世物的な仕掛物を見せる意図が強く,それに役者の演技としての〈綱渡り〉や〈宙乗り〉などが加わってケレン芝居が生まれる。衣装の〈ぶっ返り〉や〈引抜き〉,鬘(かつら)の〈がったり〉などという仕掛けもその演出の一端をになう。歌舞伎にとっては〈見せる〉という,大切な要素を受け持つものである。…

※「がったり」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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