くど造(読み)くどづくり

百科事典マイペディア 「くど造」の意味・わかりやすい解説

くど造【くどづくり】

佐賀県の平野部に見られる民家形式で,草ぶきの棟(むね)がU字形をなしたもの。この地方では2間梁の上に扠首(さす)を上げて屋根を組みあげるのが特色で,くど造はその一特例。古くはロ字形の棟が普通であったらしい。
→関連項目民家

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典(旧版)内のくど造の言及

【佐賀[県]】より

…クリーク網は,灌漑,排水,さらにかつては泥土揚げによる地力の維持など,肥沃な佐賀平野の米作農業を支えてきたが,近年,圃場整備事業でかなり姿を変えた。また,草屋根の棟がくど(かまど)のようにコの字形をしたくど造りの民家は佐賀平野の特色であったが,漸次姿を消していった。夏の高温は水稲の生長を促し,冬の好天は二条大麦などの裏作や温室園芸を広めた。…

【民家】より

…同型式の民家は天竜川下流域(静岡県),千葉県,茨城県,栃木県などの各地にも存在し,民家の系譜を知る上で注目されている。(3)くど造 熊本県北部から佐賀県の有明海沿いに見られるもので,主屋の裏手に2棟の角屋(つのや)を軒を接するように出し,雨水を樋で受けて,内部を一屋に使う形式の民家である。名称の由来ははっきりしない。…

【屋根】より

民家では,地方によって屋根の形が異なり,呼び方も違う。平面L字形で寄棟造や入母屋造の茅葺きとした曲屋(まがりや)(岩手,茨城,千葉)あるいは中門造(秋田,山形,福島,新潟),こう配が強く棟の高い切妻造茅葺きとした合掌造(富山の五箇山,岐阜の庄川地方),寄棟造茅葺きの妻側の軒を切り上げたかぶと造(山形,福島,東京西部,山梨),平面正方形に近くこう配の緩い切妻造板葺きの本棟造(長野),寄棟造茅葺きの棟がコの字形となるくど造(佐賀)がある。なお神社の権現造や,民家で多くの飾り破風などをつけて複雑な形となった屋根を八ッ棟造と呼ぶこともある。…

※「くど造」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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