けれども(読み)ケレドモ

デジタル大辞泉 「けれども」の意味・読み・例文・類語

けれども[接]

[接]接続助詞「けれども」から》前に述べた事柄と相反する内容を導く語。だが。しかし。「彼は頑固だ。けれども、話はわかる人間だ」
[類語]だがところがしかしけれどそれでもでもしかしながら然るにだけどだってされど然れどももっともさりとてそれなのにそのくせ言い条かと言ってとは言えとは言うもののにもかかわらず

けれども[接助・終助]

[接助]活用語の終止形に付く。
確定の逆接条件を表し、内容の矛盾する事柄を対比的に結びつける意を表す。「言うことはりっぱだけれども、することはなってない」「年はとっているけれども、実に活動的だ」
ある事実前置きとして述べ、本題に結びつける意を表す。「経験から言うんだけれども、時間には厳しいほうがいい」「これおもしろい本だけれども、君読まないか」
二つの事柄を単に結びつける意を表す。「野球番組も好きだけれども、音楽番組も好きだ」「時間もないけれども、金もない」
[終助]活用語の終止形に付く。
言い切りを避け、婉曲に表現する気持ちを表す。「あすなら行けるんですけれども」「父は今日出かけているんですけれども
不安に思ったり、なかばあきらめたりしながらも、事柄の実現などを願う気持ちを表す。「このままお天気が続くといいんですけれども
[補説]「けれども」は中世末、形容詞活用の已然形語尾に接続助詞「ども」が付いてできたもの。近世前期になると、くだけた感じを伴う「けれど」「けど」が生じ、後期には、「けども」が成立した。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「けれども」の意味・読み・例文・類語

けれ‐ども

[1] 〘接助〙 叙述を担う活用語の終止形をうけて、先行の事柄と後行の事柄とが逆接の関係にあることを示す、中世末期以後の助詞。「けれど」「けども」「けど」などの形と共存する。→語誌(1)(2)。
四河入海(17C前)二一「夢覚て坐する事久きけれどもさきに久くいねた程に其枕痕がほうについて不消ぞ」
[2] 〘接続〙 先行の事柄に対し後行の事柄が反対、対立の関係にあることを示す。逆接。しかし。だが。けれど。けども。けど。けんど。
※老子経抄(1596‐1615頃)「異端の説に近いぞ。けれども真実は異端の端に非ず」
[語誌](1)成立は接続助詞「ども」と、上接の「けれ」とが融合したもの。
(2)同様な逆接関係を示す接続助詞「のに」には、先行の事柄と後行の事柄との矛盾に対する批判的感情が含まれるが、「けれども」には含まれない。
(3)近世初期には「う・た・たい・ぢゃ・べい・ぬ・ます」などの助動詞や形容詞の終止形にも下接し、近世中期には動詞にも下接するようになり、接続助詞として確立した。形容詞や動詞に付く新しい用法は、男性よりも女性に多く見られる。
(4)文章語の場合、明治期には「けれども」の使用が最も優勢であり、大正期以降は「けれど」の方が優勢となる。口頭語では明治期は「けれど」、大正期以降は「けど」の使用が優勢である(土井洋一「助詞助動詞詳説」)。
(5)下に続くべき文を省略して余韻をもたせる用法からさらに進んで、「浮雲二葉亭四迷〉三」の「あら、然うぢゃ無いんだけれどもさ」や「好人物夫婦志賀直哉〉二」の「そんな事をしないとはっきり云って下されば〈略〉我慢してお留守して居るんですけど」の例のように、終助詞的に文末に用いることがある。会話の場合が多いので「けど」「けれど」の形が普通である。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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