デジタル大辞泉
「げな」の意味・読み・例文・類語
げな[助動]
[助動][〇|げに・げで|げな|げな|(げなれ)|〇]《接尾語「げ」に断定の助動詞「なり」の付いた「げなり」の音変化》活用語の終止形・連体形、形容詞の語幹に付く。
1 様態を推量する意を表す。…らしい。…(の)ようだ。
「これは早、隅田川の渡りにてありげに候」〈謡・隅田川〉
2 伝聞の意を表す。…だそうだ。…ということだ。
「今禿では小伝といひますげな」〈伎・壬生大念仏〉
[補説]室町後期から用いられ、近世上方語ではもっぱら2の用法に限られ、現在でも一部方言に行われている。
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
げ‐な
〘助動〙 (活用は「◯・げに(げで)・げな・げな・(げなれ)・◯」 そのような様子、気配を表わす「げ」に断定の助動詞「なり」の変化した形が付いてできたもの。活用語の
終止形に付いて、
推測または伝聞の意を表わす)
① そのような様子だ、という推測の意を表わす。…ようだ。…らしい。
※土井本周易抄(1477)四「此は我に剛強の処があるげなと心得て」
※両足院本毛詩抄(1535頃)一六「烏頭が毒ぢゃげなぞ」
② 他から伝え聞いたことを表わす。…だそうだ。…ということだ。
※虎明本狂言・
鱸庖丁(室町末‐近世初)「うすひ所はあつふみゑひとつくるが、はうちゃうじんのうででおりやるげな」
[語誌](1)「げ」は、形容詞の語幹、
名詞などに付く接尾語に由来し、
中世(室町時代)以後、終止形に付く助動詞化した用法が現われるようになったものである。はじめは①の様態の推量を表わす意味でのみ用いられたが、近世のはじめ頃には、次第に②の伝聞の意に転じるようになった。文章語として定着しないまま、江戸後期に発達した「そうな」に取って代わられ、衰退していった。
(2)活用は、室町時代頃からの
形容動詞の活用にほぼ一致すると認められる。「げな」を終止の用法に用いる例が圧倒的に多く、
終助詞に近い性格を持っている。
連用形「げに」は「げにござる(ござります)」などの形でのみ用いられる。
げな
〘名〙
※名言通(1835)上「
石蚕(ゲナ)、餌魚
(ヱナ)なり、用て魚餌とするを云ふ、虫なれども、なの餌とするにより、すぐに、なと云ふ、
俗語のさまなり」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報