こんにゃく

食の医学館 「こんにゃく」の解説

こんにゃく

《栄養と働き》


 サトイモ科コンニャクイモからつくられる食物で、インドシナ半島が原産地です。わが国には平安時代に伝わったといわれています。
 こんにゃくをつくる際には、コンニャクイモの球茎を粉末にしたものが使われます。コンニャクイモは石灰などのアルカリ性の物質といっしょになるとかたまる性質があり、それを利用してつくられる食物です。
〈グルコマンナンが血糖値、コレステロール値を下げる〉
○栄養成分としての働き
 成分としては97%が水分で、栄養価はあまり高いとはいえませんが、主成分にグルコマンナンを含んでいることが大きな特徴です。
 グルコマンナンとは、人間の消化酵素では分解できない食物繊維。これが消化されないまま腸に入り、水分を吸収して膨らみ、腸内を移動するあいだに便をやわらかくしてくれるのです。その結果、便通をよくし、老廃物を体外に排泄(はいせつ)します。
 ローカロリーなので、ダイエット食にも向いています。
 グルコマンナンには血糖値の上昇を抑え、コレステロール値を下げる作用があるので、糖尿病、脂質異常症の改善にも役立ちます。

《調理のポイント》


〈すきやきに入れると脂肪の吸収を抑える〉
 コンニャクイモの皮をむいてから製粉したものは白色をしています。皮付きのままつくられたものは黒こんにゃくで、腸内清掃の効果がより期待できます。
 板状になったものを板こんにゃくといい、玉状のものを玉こんにゃくといいます。しらたきはつくる過程で熱湯中に細く絞りだしてかためたもので、板こんにゃくをところてんのように突きだしたものを糸こんにゃくと呼んでいます。
 こんにゃく自体には栄養価が少ないので、調理の際は組み合わせる食材をくふうしましょう。食物繊維の働きを考えると、動物性食品やコレステロールの高い献立のときは積極的に取り入れたい食材です。
 たとえばすきやきに用いると、脂肪の吸収を抑えてくれます。体内で量がふえるので、食べすぎを防いでくれるという利点もあります。アルカリが強いので、すきやきのとき、肉のそばに置くと肉がかたくなります。すきやき鍋で煮るときは、こんにゃくと肉を近づけないほうがよさそうです。
 また、調理前に湯通しすると凝固剤を取り除けます。そのときは、水から入れて沸騰(ふっとう)させるようにしましょう。煮ものなどに用いるときは、格子状(こうしじょう)切れ目を入れたり、手でちぎったりして表面積を大きくすると味が染み込みやすくなります。
○注意すべきこと
 ローカロリーといっても、過食に気をつけたい場合もあります。
 けいれん性便秘や神経過敏症の人、腹部に炎症性の疾患がある人は、食べすぎると便秘をこじらせてしまうことがあるので、注意が必要です。

出典 小学館食の医学館について 情報

事典 日本の地域ブランド・名産品 「こんにゃく」の解説

こんにゃく[根菜・土物類]

関東地方、茨城県の地域ブランド。
奥久慈地方では古くからこんにゃく栽培が盛ん。江戸時代には、水戸藩の専売品として藩の財政を支えた。中島藤右衛門がこんにゃく芋を粉末にすることに成功してから、こんにゃくは全国的に栽培されるようになった。最近では、食物繊維とカルシウムを豊富に含んだ低カロリー健康食品として注目を浴びている。昔ながらの玉こんにゃくをはじめ、さしみこんにゃくや田楽など食べ方もいろいろ。凍みこんにゃくも昔ながらの工法で伝承され好評。

こんにゃく[根菜・土物類]

関東地方、群馬県の地域ブランド。
群馬県を代表する名産品。サトイモ科の多年生植物。産地としては、特に甘楽郡下仁田町が有名。群馬県西部・北部の山間地は、土壌の排水に優れ低温で風害の少ない土地であるため、こんにゃくの栽培に適し明治時代から産地が形成された。おでんには欠かせない食材。

出典 日外アソシエーツ「事典 日本の地域ブランド・名産品」事典 日本の地域ブランド・名産品について 情報

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