ごさんなれ(読み)ゴサンナレ

デジタル大辞泉 「ごさんなれ」の意味・読み・例文・類語

ごさん‐なれ

[連語]断定助動詞「なり」の連用形「に」に、係助詞「こそ」、動詞「あり」の連体形推定の助動詞「なり」の已然形「なれ」の付いた「にこそあるなれ」の音変化。近世中期以降「ござんなれ」とも》
…であるらしいな。…であるようだな。
「入道が仰せをば軽うしける―」〈平家・二〉
(上に「こそ」を用いて)…なのだな。…だな。
彼奴きゃつこそかのうしの時まゐり―」〈浄・蝉丸
…があるな。…あるわい。
究竟くっきゃう物見櫓―と、かけ上る門の松」〈浄・盛衰記
手ぐすねひいて待つようすにいう。よし来た。さあ来い。
「すは祐康よ、―」〈伎・小袖曽我
[補説]234は近世中期以降、誤って「御座る」「御参」の変化形と受け取られたもの。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「ごさんなれ」の意味・読み・例文・類語

ごさん‐なれ

連語〙 (近世中期以後、誤って「ござんなれ」とも)
[一] (断定の助動詞「なり」の連用形「に」に、係助詞「こそ」、動詞「あり」、推定の助動詞「なり」の已然形「なれ」が付いた「にこそあるなれ」の変化したもの) (そのことばから判断すると)…であるようだな。…であるらしいな。…であるよな。ごさなれ。
※平家(13C前)二「よしよし、おのれらは、内府が命をば重うして、入道が仰をば軽うしけるごさんなれ」
[二] 後世、(一)の語源が忘れられて、「ごさん」が「御座る」の変化したもの、あるいは「御参」のように意識されたもの。
① (上に「こそ」を用いて) …なのだな。…だな。
浄瑠璃・蝉丸(1693頃)二「きゃつこそかのうしの時参りござんなれ」
② (「御座るなれ」の変化と意識したものか) …があるな。…があるわい。
※浄瑠璃・平仮名盛衰記(1739)三「『こはいかにいかに』と驚く中(うち)に心付(つき)、『究竟(くっきゃう)の物見櫓ござんなれ』とかけ上る門の松」
③ 手ぐすねひいて待つさまにいう。やって来たな。さあ来い。よし来た。
※浄瑠璃・源頼家源実朝鎌倉三代記(1781)九「相手なければ詮(せん)なしと出行(いでゆく)向ふへ、かっきと立たる白羽の矢。『ごさんなれ』とふり返れば」

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