ささめく(読み)ササメク

デジタル大辞泉 「ささめく」の意味・読み・例文・類語

ささ‐め・く

[動カ五(四)]
ひそひそと話す。ささやく。
「かの人々笑はせよと―・き給ふをも知らで」〈落窪・二〉
さやさやとかすかに音を立てる。
「竹のありける所にて風の吹くに、いみじう―・きければ」〈小大君集・詞書
うわさする。
「ありがたき世語りにぞ―・きける」〈真木柱
胸さわぎがする。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「ささめく」の意味・読み・例文・類語

ささ‐め・く

〘自カ四〙 (「めく」は接尾語)
① さやさやと音をたてる。
※小大君集(1005頃)「竹のありける所に、風のいみじうささめきければ」
② 低い声で話す。ひそひそと言う。耳打ちする。ささやく。
蜻蛉(974頃)下「ある者、女神には衣(きぬ)縫ひてたてまつるこそよかなれ。さしたまへとよりきてささめけば」
③ ひそかに噂(うわさ)をする。
源氏(1001‐14頃)真木柱「おのづから人のをかしき事に、語り伝へつつ、次々に聞きもらしつつ、ありがたき世語りにぞささめきける」
④ 胸さわぎがする。
日葡辞書(1603‐04)「ムネガ sasamequ(ササメク)
[語誌](1)「ささ」は擬声語で、類義語「さざめく」は「ざざめく」ともいい、がやがやと大声をあげる意であるのに対して「ささめく」は、ひそひそと小声で話す意であるという違いがみられる。
(2)成立についても、「さざめく」は確実な用例が中古にはなく、中世の節用集に至って初めてみられる。「黒本本節用集」「堯空本節用集」では「サザメク」とあり、一六世紀前半頃には、「さざめく」が成立していたと考えられる。

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