させます

精選版 日本国語大辞典 「させます」の意味・読み・例文・類語

させ‐ます

〘助動〙 (活用は「させまさ・させまし・させます・させます・させませ・さしませ」。上一・上二・下一・下二・カ変の各動詞の未然形に付く) 尊敬の意を表わす。…なさる。さします。
御湯殿上日記‐文明一五年(1483)二月一九日「夜五の時分にするするとはてさせます」
[語誌](1)中世後期に成立した。敬意を強める助動詞「さす」に尊敬の補助動詞「ます」が付いたものとする説は、「ます」が既に中古においてほとんど用いられなくなっているところから、考えにくい。中古以降、口頭語として広く用いられたと思われる「させおはします」の転と見る方が自然であろう。なお、近世初期までは「させます」から転じた「さします」の方が多く用いられた。
(2)「ロドリゲス日本大文典」によれば、都で用いられる語で、「らるる」を使うのと同程度の敬意を表わし、下(しも)では「させめす」を用いたという。

させま・す

〘他サ四〙 (助動詞「させます」がサ変動詞に接続した「せさせます」の意に用いた語) 「する」の意の尊敬語。なさる。さします。
浄瑠璃・山崎与次兵衛寿の門松(1718)中「相手が死んだら自害させまし。私(わし)もお供と剃刀も用意しました」
[語誌]助動詞「させます」がサ変動詞に接続した「せさせます」の実例はないが、中古において、既にサ変動詞の未然形「せ」に使役の助動詞「さす」の付いた「せさす」から「さす」が成立していることを考え合わせると、「せさせます」から「させます」への変化は認められよう。中世後期に成立したが、近代初期までは、その転である「さします」の方が多く用いられた。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「させます」の意味・読み・例文・類語

させます[助動]

[助動][させまさ(させましょ)|させまし|させます|させます|させませ|させませ(させまし)]《尊敬の助動詞「さす」に動詞「おはします」の付いた「させおはします」の音変化。室町時代語》動詞の上一段・上二段・下一段・下二段・カ変・サ変活用の未然形に付く。尊敬の意を表す。お…になる。…なさる。→さします
「夜五の時分にするすると果てさせます」〈御湯殿上日記
[補説]一説に「さす」に丁寧の助動詞「ます」の付いたものとも。

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