さっしゃる(読み)サッシャル

デジタル大辞泉 「さっしゃる」の意味・読み・例文・類語

さっしゃる[助動]

[助動]さっしゃら(さっしゃろ)|さっしゃり(さっしゃい)|さっしゃる|さっしゃる|さっしゃれ|さっしゃれ(さっしゃい)]《尊敬助動詞「さしゃる」の音変化》上一段・上二段・下一段・下二段・カ変動詞の未然形に付く。尊敬の意を表す。…なさる。
「のうれんを見さっしゃい」〈洒・遊子方言
[補説]活用は、下二段型(未然・連用形が「さっしゃれ」、終止・連体形が「さっしゃるる」)も用いられるが、江戸語では多く四段型が用いられる。

さっしゃ・る[動]

[動ラ特活]《「さしゃる」の音変化》「する」の意の尊敬語。なさる。される。
「つとめの請合引うけあいひきなら、必ず―・るな」〈洒・遊子方言
[補説]活用は助動詞「さっしゃる」に同じ。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「さっしゃる」の意味・読み・例文・類語

さっしゃる

〘助動〙 (活用は→補注。一段活用・二段活用型の活用語の未然形につく。「さしゃる」の変化した語) 動作主体受身の場合は、その動作を受ける主体)に対する尊敬を表わす。おしなさる。
① =さしゃる
狂言記・貰聟(1660)「やあ、みなれさっしゃれぬは。お道理で御さる」
② =さしゃる
洒落本・遊子方言(1770)発端「なんでもおらが内へ来(き)さっしゃい」
[補注]活用は、下二段・四(五)段型の混在する特別活用であるが、江戸では四段型の活用形が多く用いられる。
(イ) 上方語。(未然)さっしゃら・さっしゃろ・さっしゃれ、(連用)さっしゃり・さっしゃっ・さっしゃれ、(終止・連体)さっしゃる・さっしゃるる、(已然)さっしゃれ・さっしゃるれ、(命令)さっしゃれ・さっしゃれい。
(ロ) 江戸語。(未然)さっしゃら・さっしゃろ・さっしゃれ、(連用)さっしゃり・さっしゃい・さっしゃれ、(終止・連体)さっしゃる、(仮定)さっしゃれ、(命令)さっしゃれ・さっしゃい。
(ハ) 江戸語で、「さっし」「さっせえ」を、この助動詞の命令形と考える説もあるが、これらの形は、待遇価値や、使用者などが、「さっしゃる」とは異なるので、その命令形としないで、別語として扱った。

さっしゃ・る

〘他ラ特活〙 (活用は助動詞「さっしゃる」に同じ。「さしゃる」の変化した語) 「する」の意の尊敬語。なさる。漢語に接続して、複合動詞を作ることもある。
※狂言記・釣女(1660)「さらば、たいめんさっしゃれい」
歌舞伎傾城壬生大念仏(1702)上「此彦六がゐるからは気遣ひはさっしゃるな」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android