さわさわ

精選版 日本国語大辞典 「さわさわ」の意味・読み・例文・類語

さわ‐さわ

〘副〙 (多く「に」または「と」を伴って用いる)
① 騒々しい音のするさま、物などが触れ合って音をたてるさまを表わす語。ざわざわ。
古事記(712)上「釣為(つりせ)海人(あま)の、口大(くちおほ)尾翼(をはた)(すずき)、佐和佐和(サワサワ)に控(ひ)き依(よ)せ騰げて」
② 物が軽く触れあってたてる音を表わす語。さらさら。
※料理物語(1643)一四「松茸 古酒にてさわさわといり、さかげのなき時白水をさし、だしたまりくはへふかせ候て」
※思出の記(1900‐01)〈徳富蘆花〉一「朝日に匂ふ稲花(いなほ)の美しさ。〈略〉何時しか金色に照って、此処にもさわさわ其処にもさく」
③ 落ち着かないさま、軽率なさまをいう語。そわそわ。
※俳諧・大坂檀林桜千句(1678)第二「按摩とる跡しづかなる富士颪〈益友〉 気がさはさはとめぐる夕だち〈均朋〉」

さわ‐さわ さはさは

〘副〙 (歴史的かなづかいは「さわさわ」とも。「さわやか」と同根。多く「と」を伴って用いる)
気分のはれわたるさま、とどこおるところのないさまを表わす語。さっぱりと。さわやかに。明瞭に。すっきり。
源氏(1001‐14頃)総角「知らざりしさまをも、さはさはとはえあきらめ給はで、ことわりに心苦しく思ひ聞え給ふ」
② 草や木の葉をそよがせて、さわやかに風が吹くさま、またその音を表わす語。→「さわさわ②」。
③ (下に打消の語を伴って) まったく。全然。
愚管抄(1220)七「時の君を思ひあなづり参らする心のさはさはとなくて」
手順よくすらすらとしたさま、とどこおりなく事のはこぶさまを表わす語。すらっと。すらすらと。
毎月抄(1219)「無文なる歌のさはさはと読みて心おくれたけあるのみ申しならひて侍る、それは不覚の事にて候」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「さわさわ」の意味・読み・例文・類語

さわ‐さわ

[副]
薄いものなどが軽く触れてたてる音を表す語。さらさら。「きぬずれのさわさわという音」
騒がしい音のするさま。ざわざわ。
口大くちおほ尾翼鱸をはたすずき―に引き寄せあげて」〈・上〉
落ち着かないさま。そわそわ。
「聞くより胸も―と、飛びも下りたき心なり」〈浄・重井筒

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

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