さ文字(読み)サモジ

デジタル大辞泉 「さ文字」の意味・読み・例文・類語

さ‐もじ【さ文字】

魚またはさばをいう女房詞
女御より―まゐる」〈御湯殿上日記
さびし」「ささやか」など「さ」で始まる言葉をいう語。主に女性が用いた。
「一日進ぜたる文は、―にして(=裂イテ)おちやったとの」〈虎明狂・花子

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「さ文字」の意味・読み・例文・類語

さ‐もじ【さ文字】

〘名〙
① 「さ」ではじまる言葉の後ろを略して「もじ」を添えた女房詞。
(イ) さかなをいう。
滑稽本浮世風呂(1809‐13)三「鮓をすもじ、肴(さかな)をさもじとお云ひだから」
(ロ) 鯖(さば)をいう。〔大上臈御名之事(16C前か)〕
(ハ) 刺し鯖をいう。背開きにした塩鯖を、二枚重ねて一つに刺したもの。いろのとと。〔女中詞(元祿五年)(1692)〕
(ニ) 砂糖をいう。
② 「さ」ではじまる言葉を①にならって表現したもの。女ことばとして、また、近世通人たちの間に用いられた。
※虎明本狂言・花子(室町末‐近世初)「ひとひしんぜたる文は、さもじしておすちやったとの」
[補注]②の狂言の例は「裂く」意で用いられている。

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