しつらい

精選版 日本国語大辞典 「しつらい」の意味・読み・例文・類語

しつらい しつらひ

〘名〙 (動詞「しつらう」の連用形の名詞化)
調度、施設などを設け整えること。設備。支度。こしらえ。
※竹取(9C末‐10C初)「うちうちのしつらひには、いふべくもあらぬ綾おりものにゑをかきて、まごとはりたり」
② (「室礼」「補理」などはあて字) 平安時代以後、請客饗宴、移転、女御入内などの晴れの儀式の日に、寝殿母屋、および廂(ひさし)に調度類をたてて室内を装飾したこと。また、寺院で、法会(ほうえ)や仏事が行なわれる空間の飾りつけのこと。荘厳(しょうごん)
源氏(1001‐14頃)若菜上「御しつらひはかへ殿の西面に御几帳より始めてここの綾錦をまぜさせ給はず、もろこしの后の飾りをおぼしやりて」
③ 物事がうまくいくための手だて。
太平記(14C後)二一女性、少(をさなき)人を具足したれば、兎角のしつらいに滞て、幡磨の陰山にては早追付れにけり」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のしつらいの言及

【家具】より

…では現在〈家具〉と総称している財を古くはなんと呼んでいたのか。奈良時代には資財,雑物(ぞうぶつ),鋪設物(しつらいもの),装束など,平安時代に多く使われたのは調度,装束であった。中世には具足,御物,器財など,近世では道具,屋財,家財などのほか,机や棚などの木工品を指物(さしもの)と呼ぶことがあった。…

【建具】より

…屋内は主として夜を過ごすためのものであったから閉鎖的で暗く,開口部には防犯のためのがんじょうな扉がはめられていた。平安時代の寝殿造も基本的には1棟1室で,必要に応じて〈舗設(しつらい)〉と呼ばれる屛風,ついたて,几帳などで室内を仕切っていた。外回りにも壁はほとんどなく,出入りのための妻戸(つまど)(扉)のほかは半蔀(はじとみ)(蔀戸(しとみど))が多く用いられた。…

※「しつらい」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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