しどけない

精選版 日本国語大辞典 「しどけない」の意味・読み・例文・類語

しどけ‐な・い

〘形口〙 しどけな・し 〘形ク〙
規律がなく雑然としている。いいかげんでしまりがない。とりとめない。だらしない。きちんとしていない。無秩序である。無造作である。しどない。
※宇津保(970‐999頃)蔵開上「かかることは有りなんと思ふ所ぞかし。われらがしどけなきぞかし」
源氏(1001‐14頃)行幸尚侍宮仕へする人なくては、かの所のまつりごとしどけなく」
② (服装や髪などがとりつくろわないため適当に乱れている様子を、むしろ美的なものとして好意をもっていう語) うちとけた親しみがある。ゆるび乱れた美しさがある。しどない。
※源氏(1001‐14頃)須磨「こまやかなる御なほしおびしどけなくうちみだれ給へる御さまにて」
③ おさなく、しっかりしていない。なよなよとして、頼りない。考えがゆきとどかない。しどない。
※源氏(1001‐14頃)宿木母宮の、なほいとも若く、おほどきて、しどけなき御心にも、かかる御けしきをいとあやふくゆゆしとおぼして」
しどけな‐げ
〘形動〙
しどけな‐さ
〘名〙

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「しどけない」の意味・読み・例文・類語

しどけ‐な・い

[形][文]しどけな・し[ク]
服装や髪が乱れていて、だらしがない。むぞうさで、しまりがない。「―・い寝巻姿
うちとけた感じで、つくろわない。乱雑であるが、親しみを覚えて好ましい。
「今様色の御衣ひき重ねて、―・き大君姿」〈・行幸〉
幼くて頼りない。分別が足りない。
「母宮の、なほいとも若くおほどきて―・き御心にも」〈・宿木〉
[派生]しどけなげ[形動]しどけなさ[名]
[類語]下品浅ましいさもしい卑しいはしたないあられもない下種下等低級低俗卑俗野卑低次元猥雑見苦しいみっともない醜悪ほこりっぽい汚いむさくるしい汚らしい小汚い薄汚いけがらわしいばっちいむさい泥まみれ不潔不浄不衛生不純尾籠みすぼらしいぼろいぼろぼろおんぼろよれよれぽんこつ老朽化汚穢おわい汚れ物汚濁けがれよごれ汚点汚染くすむ薄汚れる汚れるすすけるあかじみるまみれる油じみる汗じみる醜態老醜無様ぶざま不格好醜いしゅうばばっちい目障りじじむさいかっこ悪いださい野暮野暮ったい泥臭い不細工田舎臭い不体裁グロテスク不器量弊衣破帽だらしない醜怪見辛い見るに見兼ねる

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

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