精選版 日本国語大辞典 「しみ」の意味・読み・例文・類語
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顔面,とくに眼の付近の前額部,頰部などにみられる褐色ないし灰褐色の色素斑で,肝斑とも呼ばれるが,肝機能障害との関係はない。色素斑の境界は比較的鮮明で,種々の形をとるが,発赤,搔痒(そうよう)感(かゆみ)などの炎症症状を伴わない。夏季に悪化し,冬季にはいくぶん色が淡くなる。30歳以後の女性に多く,男性にはほとんどみられず,女性ホルモンの異常によるものとも考えられるが,原因は不明である。妊娠時の卵胞ホルモン,メラノサイト刺激ホルモンの増加によるものは妊娠性肝斑と呼ばれ,出産後に自然に治癒する。このほか,閉経期,卵巣機能障害によるもの,少女で月経不順に伴うもの,癌などで全身衰弱のある患者にみられるものなどがある。治療はビタミンCの内服,注射,ホルモン療法などによるが,治癒までに長期間を要する。強い紫外線を避けることも大切である。
なお,いわゆる〈しみ〉と呼ばれるものには以上のほか,老化現象としての色素沈着と老人性疣贅(ゆうぜい)がある。前者は顔面など比較的露出部に多い。後者は一種の〈いぼ〉であるが,黒褐色の色素斑としてみえることがある。
執筆者:新村 真人
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肝斑(かんぱん)の俗称。おもに前額、側頭、頬骨(きょうこつ)(ほお骨)部などに左右対称に生じる境界明瞭(めいりょう)で平らな淡褐色の色素沈着斑で、発赤やかゆみなどは伴わない。30歳以後の女性に多いが、妊娠、月経不順、経口避妊薬連用に関連して生じる例もある。
なお、老人性色素斑を俗に「しみ」とよぶこともある。これは老化現象の一つとしてみられる大小の褐色色素斑で、そばかす(雀卵斑(じゃくらんはん))に似て小さく顔面に多発するものや、老人性疣贅(ゆうぜい)へ移行することもある大形のもの、あるいは白斑や色素斑が混在するものなどがある。とくに治療を要しないが、癌(がん)前駆症との鑑別(悪性黒色腫(しゅ))が重要である。
[安藤巌夫]
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