しろなまず

改訂新版 世界大百科事典 「しろなまず」の意味・わかりやすい解説

しろなまず

医学的には尋常性白斑vitiligo vulgarisという。後天性の完全色素脱出斑で,全身どこにでも生ずる。形は円形,楕円形,不規則形などさまざまで,境界は鮮明である。毛の生えている部位では,毛も色素を失って白毛となることがある。自覚症状はない。病理学的には,表皮基底層に色素細胞は存在するが,メラニン顆粒を欠く。病因として自律神経の異常,自己免疫なども考えられているが,原因は不明である。病勢がつよいときには,白斑は拡大して数を増すが,自然に治癒することもある。治療は光感作物質である8-メトキシプソラレン(8-MOP)の内服あるいは軟膏ローションを外用後に日光光線または長波長紫外線を照射する。一般に,毛孔に一致して点状の色素斑が出現し,これが拡大して治癒する。ほくろなどのまわりに環状の白斑が出現するのはサットン後天性遠心性白斑leukoderma acquisitum centrifugum Suttonと呼ばれるが,この場合には他の部位に尋常性白斑がみられることが多い。
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百科事典マイペディア 「しろなまず」の意味・わかりやすい解説

しろなまず

尋常性白斑のこと。白癜風(はくでんぷう)ともいう。後天的に全身の随所にできる白斑で,大きさ,形はさまざま。境界は明瞭で,これに隣接する皮膚面では,逆に色素沈着が増す。自覚症状はない。発毛部にできると,その部分の毛髪は白毛化する。原因は自律神経障害説,自己免疫説があるが未確定。色素細胞のメラニン形成を促す方法として,ベルガモット油を塗布し太陽灯照射,メトキシプソラレン内服またはソレランローション外用後に紫外線照射,TTG皮内注射と紫外線照射など。
→関連項目白髪白斑(医学)

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