しわふる人(読み)しわふるひと

精選版 日本国語大辞典 「しわふる人」の意味・読み・例文・類語

しわふる‐ひと【しわふる人】

連語〙 (「しわふる」の歴史的仮名づかいは、語義の解し方によって「しはふる」「しわふる」の二つになる)
① 「しばふるひと」「しばふるいびと」「しわぶるいびと」などとともに諸説あって未詳。「皺(しわ)古人」で、しわのある老人の意、「為侘(しわ)ぶる人」で、貧しい人の意、「咳(しは)ぶる人」で、よく咳(せき)をする老人の意、「柴振る人」で山賤(やまがつ)のような卑しい身分の者の意とするなど。また、「しはふるひ人」の本文によって「皺ぶるひ人」「咳ぶるひ人」「柴振るひ人」と解するほか、「咳(しは)ぶかひ人」(よく咳をする老人)の誤りとする説もある。
※青表紙一本源氏(1001‐14頃)賢木「見奉り送るとて、このもかのもにあやしきしはふる人とももあつまりてゐて」
※光悦本謡曲・小塩(1470頃)「寒山賤のさしもげに、しはふる人と見ゆるにも」
② (「皺古人」と解して) しわの刻まれた年寄り。老人。
読本春雨物語(1808)目ひとつの神「物まうしの声、皺(シハ)ぶる人なれば、おかしと聞えたる」
[補注]「源氏‐賢木」は青表紙本には多く「しはふるひともも」とあり、そのうちの一本に「しはふるい人とも」とある。また、河内本には「しはふるひ人とも」とあり、さらに、別本には「しわふく人ともも」「しはふふる人ともも」「しはふかき人ともも」とある。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

今日のキーワード

黄砂

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android