ずぶ

精選版 日本国語大辞典 「ずぶ」の意味・読み・例文・類語

ずぶ

(「づぶ」とも表記した)
[1] 〘副〙
① (多く「と」を伴って用いる) 頭から全身水にぬれるさま、物の全体を水につけ込むさまなどを表わす語。また、水やぬかるみに足をつっこんだ時の音や、その状態を表わす語。
発心集(1216頃か)三「西に向て念仏する事しばしありて、海にづぶと落入(をちいり)ぬ」
※俳諧・曠野(1689)員外「袋より経とり出す草のうへ〈荷兮〉 づぶと降られて過るむら雨〈越人〉」
② (多く「と」を伴って用いる) 柔らかいものを、さし貫くさまを表わす語。
史記抄(1477)六「所制とて、先づ一刀つふとついた者が勝ぞ」
③ (多く「と」を伴って用いる) きっぱりと断ちきるさま、はっきりとして、力強く確かなさまを表わす語。断然。はっきり。
日葡辞書(1603‐04)「Zzubuto(ヅブト) ヲモイキル」
④ まったく。まるっきり。すっかり。現代では、「ずぶの」の形で用いることが多い。
※歌舞伎・七月二八曙(1773)中「与兵へ其手物に付てこちの内からづぶ三文出す事はならぬ」
枯葉の美しさ(1957)〈井上友一郎〉四「ズブの素人(しろうと)だというけれど、なかなかお客の付きがいいよ」
[2] 〘接頭〙 したたかに、はなはだしくの意を添える。「ずぶぬれ」など。
[3] 〘名〙
① 「ずぶろく(━六)」の略。
※雑俳・柳多留‐九(1774)「づぶになるつもりで下戸を誘ふ也」
② 場所を移りながら、物乞いをして歩く者。
浅草紅団(1929‐30)〈川端康成〉二「『ヅブって?』『まあ乞食一種ね。縄張のない、流しの乞食』」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「ずぶ」の意味・読み・例文・類語

ずぶ

[副]
《日葡辞書では「づぶ」と表記》まったく。まるっきり。全然。現代では多く、「ずぶの」の形で用いられる。「ずぶの素人」
「―働かないでいる訳にも行かないでね」〈秋声足迹
全身水にぬれるさま。全体を水につけるさま。また、その時の音を表す語。
「海に―と落ち入りぬ」〈発心集・三〉
[接頭]動詞の連用形から転化した名詞に付いて、はなはだしく、すっかり、などの意を添える。「ずぶぬれ」「ずぶ酔い」
[類語]全くまるきり全然

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

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