ずんと(読み)ズント

デジタル大辞泉 「ずんと」の意味・読み・例文・類語

ずん‐と

[副]
他に比べて、量・質・程度などの違いがはなはだしいさま。ずっと。ぐんと。「去年よりもずんと背が伸びた」
「それよりも―好いは」〈一葉たけくらべ
動作勢いよくすばやくするさま。
「こう引立って居て―下すから」〈円朝真景累ヶ淵
下にくる語の意味を強調する気持ちを表す。ずんど。
㋐すっかり。まったく。
後来のちのちの迷惑―承知」〈紅葉・不言不語〉
㋑(下に打消しの語を伴って)ちっとも。全然。
「その鉄道なるものが、僕の頭には―はっきりしなかったのである」〈蘆花思出の記

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「ずんと」の意味・読み・例文・類語

ずん‐と

〘副〙 (「づんと」とも表記した)
① 動作が突然に勢いよく行なわれるさま、また、たやすく行なわれるさまなどを表わす語。ずいと。
太平記(14C後)一七「寄手の兵四五十人、犬居にどうと打居(す)ゑられ、中天にづんと打挙げられ、沙(すな)の上に倒れ伏す」
※幸若・いるか(室町末‐近世初)「くびもなきむくろが、ゐたる所をつむとたって」
② 程度の隔たってはなはだしいさまを表わす語。ずっと。はるかに。ぬきんでて。
浄瑠璃出世景清(1685)二「子供もいとふ成人し、御身もずんと女房を仕上たり」
※たけくらべ(1895‐96)〈樋口一葉〉一一「夫れよりも、夫れよりもずんと好いは、お前の隣に据ってお出なさるのなれど」
③ 全く。まるで。また、下に打消の語を伴って、「全然、とんと」の意にも用いる。
当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙一四「根が負おしみの気象なるにや、ズント平気なる顔色にて」

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