たたなづく

精選版 日本国語大辞典 「たたなづく」の意味・読み・例文・類語

たたな‐づく

① 幾重にも重なっている意で、「青垣」または「青垣山」にかかる。
古事記(712)中・歌謡大和は 国のまほろば 多多那豆久(タタナヅク) 青垣 山ごもれる 大和しうるはし
② 「柔肌(にきはだ)」にかかる。かかり方未詳。
万葉(8C後)二・一九四「玉藻なす 彼寄りかく寄り 靡(なび)ひし(つま)の命の 多田名附(タたなづく) 柔膚(にきはだ)すらを つるぎ大刀 身に添へ寝ねば」
[補注](1)「たたな」は、「たたぬ」「たたむ」などと語根を同じくするもので、たたみ重なる意を表わし、「づく」は「付く・着く」の意であろうという。
(2)②の用法は、人麻呂が古い枕詞を転用させたものかといわれるが、そのかかり方は衣が重なったように柔らかになびく意からとか、身を折りかがめる意からなど、諸説ある。なお、この①②とも、枕詞としない説も多い。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「たたなづく」の意味・読み・例文・類語

たたな‐づく

[枕]
幾重にも重なっている意から、「青垣」「青垣山」にかかる。
「―青垣山籠れる大和しうるはし」〈・中・歌謡〉
かかり方未詳。「柔膚にきはだ」にかかる。
つまみことの―柔膚すらを」〈・一九四〉

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