だって
[1] (
助動詞「だ」に
助詞「とて」の付いた「だとて」が変化したもの)
体言または体言に
格助詞の付いたものをうけ、副助詞的に、くだけた話しことばとして用いる。…でも。
※洒落本・富賀川拝見(1782)山本屋の段「あの人だってそれ程の事の出来ねへ風でもねへさうだ」
※酒中日記(1902)〈
国木田独歩〉五月六日「借金してだって、
衣類(きもの)を質草に為
(し)たって」
[2] 〘接続〙 ((一)の自立語化したもの)
①
相手のいう
事柄などについて、不承知で反論する場合に用いる。そうはいっても。でも。だっても。
※
人情本・春色恋廼染分解(1860‐65)五「『
吾儕(わたし)の体を〈略〉金にして持って往
(い)って、お懸合ひなはいな』『だって、まさか左様
(さう)も行くめえぢゃアねえか』」
② 先行する事柄について、その
理由や言いわけを補足する場合に用いる。なぜかというと。
※
浮雲(1887‐89)〈
二葉亭四迷〉二「だから僕
(ぼか)ア議論して遣ったんだ。だって君、失敬ぢゃないか」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
デジタル大辞泉
「だって」の意味・読み・例文・類語
だって[接助・係助・終助]
[接助]《接続助詞「たって」が、ガ・ナ・バ・マ行の五段活用動詞の連用形に付く場合の形》「たって」に同じ。「ここなら泳いだってかまわない」
[係助]《断定の助動詞「だ」に係助詞「とて」の付いた「だとて」の音変化という》名詞・副詞、一部の助詞に付く。「でも」に似るが、語調がより強い。
1 ある事柄を例示し、それが他と同類、または、同様であるという意を表す。…もやはり。…でも。「鯨だって人間の仲間だ」「ここからだって見える」
2 いくつかの事柄を並べて例示し、すべてが同類であるという意を表す。「水銀だって鉛だって公害のもとだ」「野球だってテニスだってうまい」
3 疑問・不定を表す語、または、数量・程度を表す語に付いて、例外なくそうである意を表す。…でも。…も。「だれだって知っている」「一度だって姿を見せない」
[終助]《係助詞「だって」の文末用法から》引用句に付く。相手の言葉に対して、非難・驚きの気持ちを込めて強調する意を表す。「欲しいくせに、いらないだってさ」「なぜ休んだかだって。病気だよ」
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