だにも

精選版 日本国語大辞典 「だにも」の意味・読み・例文・類語

だに‐も

(副助詞「だに」と係助詞「も」が重なったもの) 体言またはこれに準ずるもの、副詞などの連用語を受ける。→だに
① 期待される最小限事柄を指示する。せめて…だけでも。
書紀(720)斉明四年五月・歌謡「今城(いまき)なる 小山(をむれ)が上に 雲娜尼母(ダニモ)(しる)くし立たば 何か嘆かむ」
② 程度の甚だしい事柄を挙げて他を類推させる。…さえも。
※西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)一〇「仮使(たとひ)千万億劫の中にすとも、其の少分をダにも知ること得ること能はじ」
[補注]「だも」はこの「だにも」が音変化したものといわれ、訓点資料では、「だに」単独例よりも、「だにも」「だも」の形が多く見られる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「だにも」の意味・読み・例文・類語

だに‐も

[連語]《副助詞「だに」+係助詞「も」》
取り上げた事柄が望みの最小限であることを強く示す。せめて…だけでも。
三輪山しかも隠すか雲―心あらなも隠さふべしや」〈一八
軽い事柄をあげてより重い他の事柄のあることを類推させる意を表す。…でさえも。
「年―十とて四つは経にけるをいくたび君をたのみ来ぬらむ」〈伊勢・一六〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

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