つつきの順位(読み)つつきのじゅんい(英語表記)peck order

改訂新版 世界大百科事典 「つつきの順位」の意味・わかりやすい解説

つつきの順位 (つつきのじゅんい)
peck order

動物の間にみられる直線的な順位関係。近年では人間社会における優劣関係についてもこの語が用いられることがある。シェルデラップ・エッベT.Schjelderup-Ebbe(1922)は禽舎きんしや)で7羽の雌のニワトリ個体識別して観察し,つつくものとつつかれるものに明白な優劣関係があることを見いだし,初めて順位という概念を提出した。その後,ハトなどで下位からの〈つつき返し〉があり,統計的にのみ一方が優位であるといった相対的つつきの順位も認められている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のつつきの順位の言及

【順位】より

…実験条件下では無脊椎動物を含めて多くの動物で順位が報告されているが,集団のメンバーどうしが互いに個体識別できる知的能力がなければ,本来の意味の順位は成立しないので,野外で順位が認められるのは一部の鳥類と哺乳類だけである。 一般に野生の状態では劣位の個体は優位個体との出会いを避けるので,優劣関係がはっきりみられることは少ないが,鳥類ではつつきの順位をみたり,餌づけされたニホンザルやニホンジカの場合には,2個体の中間にそれぞれミカンやせんべいを投げ与えて,どちらが先に取るかをみる,いわゆる〈ミカンテスト〉や〈せんべいテスト〉などで明らかにすることができる。ニホンザルではミカンテストの結果得られた順位が,食物といった直接的な要求物のないところでも,優位個体の劣位個体に対する馬乗り行動(マウンティングmountingともいう)によって常時確認されている。…

※「つつきの順位」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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