つぶと(読み)ツブト

デジタル大辞泉 「つぶと」の意味・読み・例文・類語

つぶ‐と

[副]
ずれやすきまのないさま。ぴったり。びっしり。
「みちのくにがみを―おさせ給へりけるが」〈大鏡伊尹
すっかり覆うさま。すっぽり。
二条大路の―煙みちたりしさまこそめでたく」〈大鏡・道長下〉
(打消しの語を伴って)少しも。全然。
「顔を―見せぬがあやしきに」〈今昔・二七・三八〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「つぶと」の意味・読み・例文・類語

つぶ‐と

〘副〙
① ずれや、すき間などのないさまを表わす語。ぴったりと。
※今昔(1120頃か)二六「其の年、其の月、其の日と云を聞くに、彼、但馬国にして鷲に被取し年・月・日につふと当たれば」
② 物をすっかりおおうさまを表わす語。あます所なく。すっぽり。
※今昔(1120頃か)二八「袖を以て顔をつふと隠して行くに」
③ (下に打消を伴って) 全面的に否定する気持を表わす語。少しも。全然。
※成尋母集(1073頃)「その車に乗りけむ程を思ひ出づるに、つふと覚えず」

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