デジタル大辞泉
「てまし」の意味・読み・例文・類語
て◦まし
[連語]《完了の助動詞「つ」の未然形+推量の助動詞「まし」》
1 事実に反することを、不満や後悔の思いで想像する意を表す。…すればよかっただろうのに。
「昼ならましかば、覗きて見たてまつり―◦まし」〈源・帚木〉
2 上に疑問表現を伴って、ためらい迷う気持ちを表す。…してしまおうかしら。
「いと渡らまほしげにおぼいためるを、さもや渡しきこえ―◦ましなど思へど」〈源・宿木〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
て‐・まし
(完了の助動詞「つ」の未然形に推量の助動詞「まし」の付いたもの)
①
(イ) 現実にはしなかった事を口惜しく想像する意を表わす。…すればよかったろう。…しておくのだった。
※
万葉(8C後)三・二七七「
早来ても見手益
(てまし)ものを
山背の高の槻群
(つきむら)散りにけるかも」
(ロ) (
仮定の条件句をうけて) …したことであったろう。…したはずだ。
※土左(935頃)承平五年一月八日「もし
海辺にてよまましかば、波立ち塞へて入れずもあらなん、ともよみてましや」
② (多く疑問の語をうけて) ためらいの気持を表わす。…したらよかろう(か)。…してしまおう(か)。
※
源氏(1001‐14頃)明石「忍びてや迎へ奉りてましとおぼし弱る折々あれど」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報