とうびょう

精選版 日本国語大辞典 「とうびょう」の意味・読み・例文・類語

とう‐びょう

〘名〙 中国四国地方でいう憑(つ)き物の一種本体小蛇または狐と考えられ、きわめて執念深いという。この憑き物を持つ家では、土瓶の中に多くの小蛇を飼っているというので「土瓶」と字を当てることもある。〔大和本草(1709)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「とうびょう」の意味・読み・例文・類語

とう‐びょう

中国・四国地方でいうき物の一。小狐または小さい蛇で人に憑くという。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「とうびょう」の意味・わかりやすい解説

とうびょう

中国、四国地方でいわれている憑(つ)き物(もの)の一種。小ヘビのような形をしており、瓶の中に飼われているといわれ、土瓶という字があてられる。ヘビといっても細長い杉箸(すぎはし)のようなかっこうをしており、頸部(けいぶ)に白または黄色の帯状のものがあるという。鳥取地方ではとうびょう狐(きつね)といっており75匹が群れをなしているという。山口県長門(ながと)地方では長虫(ヘビ)のようなもので家に憑くというより個人に憑くという。同じ憑き物の犬神よりも執念深い。備中(びっちゅう)(岡山県)地方ではとうびょう神として祀(まつ)っている所があり、酒好きという。四国の讃岐(さぬき)(香川県)地方ではとうびょうを土の甕(かめ)に入れて台所の近くに置いているという。どの地方でも、とうびょうは夜中に出て他家の物をくわえてくるので、とうびょう持ちの家は金持ちになるといわれている。縁組みをするとその家もとうびょう持ちとなるといい、とうびょう持ちの家とはどこでも通婚を嫌った。人がとうびょうに憑かれると神経痛のように痛むという。

[大藤時彦]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android